
第19回
年々、どうでもよくなっていく「誕生日」という「記念日」。
更新日:2026/04/22
昨年の5月12日、54歳の誕生日、私は何をしていたのでしょうか。
スケジュールを振り返ってみたところ、この日は「ゴゴスマ」の収録で名古屋へ。
東京に戻ってからは、いとうあさこさんとラジオの収録へ。
それが終わったのが21時過ぎだから、そこから誕生祝いをするとは思えないんだけど。
やったんですかね、やらなかったんですかね、どっちなんですかね……ってくらい、全く記憶がないんですよね。
若い頃は「誕生日おめでとう」のメールを友達と送りあったものだけど、あれも年賀状と一緒でね、50歳を過ぎたあたりからどんどん減ってきて。
毎年、0時過ぎに一番乗りで連絡をくれていたマネージャーさんからも、最近はもう寝ちゃうのか、去年あたりから遂にメールが来なくなって。
下手したら自分も自分の誕生日を忘れているときがあるっていう。
いやもう、本当に年々、重要視しなくなっていますよね。
誕生日も他人からしてみれば365日分の1日に過ぎないわけで。
「おめでとう」を言われれば「ありがとう」を返すけれど、基本的には「気を遣わないでください」の気持ちでいっぱい。
そもそも、パーティーの主役になるのが苦手。
「嬉しい」よりも「私なんかのために集まってくれて申し訳ない」の気持ちが勝ってしまうタイプだし。
また、こう見えて意外と真面目な人間なのでね。
「お祝いされっぱなしは申し訳ない」と思ってしまうタイプでもあって。
数年前まではスマホのメモに祝ってくれた相手の誕生日を書き出してリストアップ。
毎年、それを見ながら、ひとりひとりにお返しをするように心がけていたりして。
でも、それも年々、面倒になってきちゃってねぇ。
また、そのお返しも難しいじゃない。
同年代の女性ならまだしも、若い子が興味を持つものなんて見当もつかないし。
お金を持っている成人男性もまた同じ。
悩んだところで「何が欲しいか」の答えなんてわからないから。
最近はもう、若い子には一人暮らしでも使えるオシャレなホットプレート。
成人男性には牛肉、松坂牛か近江牛か選んで注文できるギフト。
ほぼ同じものを配り歩いています。
基本的にプレゼントを選ぶのが苦手。
だからこそ、自分の中に「困ったときにはコレ!」を常備しておきたい。
そのひとつが「ノンストップ!」の出演時、人気通販コーナー「いいものプレミアム」で買った美容筆。
これがすごく良くて、出演者の間でも評判でね。
それをまとめ買いして“誰かの誕生日プレゼント用”にストックしていた時期もあったりして。
一番困るのが、そんなストックもなく、もうAmazonでも間に合わない、ギリギリの瞬間で「あっ、今日はあの人の誕生日だ‼︎」と気づいてしまったとき。
そういうときに私が駆け込むのは近所の家具屋です。
ほら、家具屋ってオシャレな雑貨をちょこっと取り扱っているじゃないですか。
で、その数少ない雑貨から、なんとか無理くり、数点見繕ってプレゼントにするっていうね。
いつものその流れで、あさこさんにあげた、巨大な犬のキーホルダー。
「一体どこにつけるの?」と思うようなそれを、気遣い屋の彼女はちゃんとカギにつけてくれていて。
カバンからはみ出ている巨大なそいつを見たときはさすがに「ごめん」と思いましたよね。
今日、着ているラブラドールがプリントされたトレーナーは川村エミコちゃんがくれたもの。
私自身はね、いただいたものはなんでも使うタイプなので。
誕生日プレゼントをもらって困るってことは滅多にないんですよ。
私が仕事現場でよくいただくものといったらお酒ね。
そこには「酒をあげときゃいいんだろう」という多少のやっつけ感も覚えますが、それも含めて大歓迎。
普段、飲んでいるコンビニのお酒よりも間違いなく高いし美味しいですしね。
ただ、大量にいただくだけに、生酒とか要冷蔵のものだとちょっと困る。
早く飲まなきゃと気持ちが焦る。
また、あまりお酒を飲まない方は「酒飲み=日本酒」と思いがちだけど、日本酒は好みが大きく分かれるのでね。
できたら、日本酒よりもワイン、さらに、置けば置くほど美味しくなるタイプだと最高にありがたいですね♡
あと、50代になってからよくもらうようになったのが健康グッズや美容グッズね。
ヘッドマッサージャーとか、足に圧をかけてむくみをとるやつとか、本当にいろんなものをいただくんですけど……。
あれね、正直、使わないんだよね。
美容&健康グッズって、本当に困ったときに「ヘルプミー‼︎」の感覚で自分で買い求めるものというか。
「まだ大丈夫」のときは説明書を読んでまで使おうと思えないというか。
プレゼントって「自分では買わないようなものを選ぶ」という傾向があるからこそ、変化球を投げがちだけど。
結局、「自分で買わないものは使わない」んだよね。
これが、高級シャンプーだったり、高級シートマスクだったり、「日常的に使っているけど、自分では買わないもの」だったら、間違い無く使うし、すごく嬉しいんですけどね♡
「もらって困ることは滅多にない」と言いながらも、いざ語り始めると、次から次へと出てくる不平不満。
やっぱり、誕生日プレゼントはもらうのもあげるのも難しい。
だからね、もうね、お互いに祝うのはやめたほうがいいと思うんですよ。
そもそも、誕生日って、生まれてきたことに、今日まで無事に生きてきたことに、感謝する日なわけで。
当たり前のように元気で過ごせている今は必要ないのかもしれない。
60代や70代になって、元気で過ごせることが当たり前でなくなったときに初めて心から「良かったね!」「おめでとう!」と言えるのかもしれない。
そんな日がやってきたときにまた、誕生日はしっかり祝いあいたいと思います。

聞き手・構成/石井美輪 題字・イラスト/中村桃子
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©三山エリ
- 著者プロフィール
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大久保佳代子(おおくぼ・かよこ)
タレント。1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。1992年、幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」結成。「めちゃ×2イケてるッ!」でのブレイク後、バラエティ番組にとどまらず、コメンテーターや女優としても活躍している。近著にエッセイ集『まるごとバナナが、食べきれない』 (集英社)『パジャマあるよと言われても』(マガジンハウス) など。
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