大久保佳代子のほどほどな毎日

第16回

スマホ画面に増え続けるアイコン。使いたいアプリが見つからない問題。

更新日:2026/01/21

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 スマホの画面を右左に何往復もスワイプ。
 使いたいときに使いたいアプリがなかなか見つからない問題、皆さんも抱えてはいませんか?
 私は思い切り抱えております。
 さっきも「最近、なんの本を読みましたか?」と聞かれて、『Kindle(キンドル)』を開こうとしたのに見つからなくて、答えるまでに数分かかってしまいましたからね。

 なかなか見つからない理由のひとつはきっと、使用頻度の低いアプリを消さずに放置しているから。
 数年前にちょっとハマり、今はもう全然遊んでいない『キャンディークラッシュ』。
 スマホの画面に映し出される鍵盤でピアノが弾ける音楽アプリ。
 映画にもなった思い出のゲーム『ねこあつめ』……。

 得意なものを聞かれたときは「暗算」と回答。
 珠算二段、暗算は渥美半島で3位の実績を持つ私のもとに舞い込んだ“歌いながら暗算をする”という、マルチタスクの極みとも言える仕事のオファー。
 その特訓用にダウンロードした『計算の達人』もいまだに放置したままですからね。
 収録はとっくのとうに終わっているのに。

 私ね、アプリを消すのがとにかく苦手なんですよ。
 情深い性格が影響しているのでしょうか。
 一度、縁があって繋がったものを簡単に消すのがなんかイヤで。
 なのに、なんでもかんでもダウンロードしちゃうっていう節操がない一面もあって。
 店頭で勧められるポイントカードのアプリとかもすぐに追加しますからね。
 迷わずに、言われるまま。

 この間はナイツの土屋君が「これ、いいですよ」と教えてくれた『Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)』をダウンロード。
 スマホを枕元に置いて眠ることで睡眠を計測してくれるアプリなんですけど。
 自分の睡眠の量や質がわかるだけでなく、寝れば寝るほど、画面の中にいるカビゴンが育っていくんですよ。
 それがなんだか面白そうで。

 最近、不眠気味で「眠れない」のが悩みでもある私にはいいかもしれないぞ、と思って始めたんだけど……。
 朝、目覚めるたびに「あなたの睡眠時間は4時間半です」とか言われちゃって、それを聞くたびに「私、全然眠れてないんだ」と自覚しちゃって、逆に体調が悪くなっちゃったりして。

 毎朝、アプリが告げる睡眠時間に一喜一憂。
 ポケモンに囚われがちな日々を生きている私ですが、それでも、やっぱりアプリは消せない。
 だって、私はカビゴンを育てなきゃいけないから‼︎
 架空の世界の生き物とはいえ、カビゴンの命を奪うことはできないから‼︎

 「インバウンドで海外の人に出会う機会も増えているから。英語が話せたらいいよね。きっと世界が広がるよね」と、友達と盛り上がり始めた語学アプリDuolingo(デュオリンゴ)』。
 これもまた、最近、私のスマホに追加された新参アプリなんですけど。
 この歩みがビックリするくらい遅くてねぇ。
 永遠に繰り返される「A salad, please」。
 カフェでの注文からレッスンがなかなか進まず、すでに心が折れそうに。
 それでも、いつの日か英語をペラペラに話せる日が来ることを夢見て、頑張って「A salad, please」を呪文のように唱えております。

 そんな英語の勉強をはじめ、スマホさえあればなんでもできてしまう、本当に便利な時代になりましたよね。
 足を骨折したときはタクシー配車アプリ『G O』のお世話になりましたし。
 近所のクリーニング店が閉店してしまってからは宅配クリーニングアプリを導入。
 洋服から毛布まで袋に詰めるだけで、さらには、24時間いつでも対応してくれるっていう便利さには驚くばかりでした。

『Amazon(アマゾン)』のアプリも相変わらず大活躍してくれていてね。
 最近の注文履歴に並んでいるのは、愛犬のパコ美と実家の保護犬ふうちゃんのドッグフードやペットシーツ、私が使う体重計、ノブコブの吉村君に勧められて飲み始めたすっぽんエキスのサプリメント……。
 翌日配達の迅速な対応が私と犬の健康を支えてくれております。

 離れた場所に住む老いた親のためにも、様々なアプリが活躍してくれていてね。
 一人暮らしの母が「足が痛くて『イオン』に買い物に行けない」って言い出したときは『三ツ星ファーム』のアプリをダウンロード。
 冷凍食品を配送してくれる宅配サービスなんですけど、高齢者も食べやすい健康的で美味しいメニューが揃っているんですよ。

 だがしかし、それを受け取った母親からは「必要ない」という連絡が。
 同封されていた料金明細を見てしまったんでしょうね。
 一食あたり800円くらいなんだけど、送料を入れると1000円近くになり、「私には贅沢だ。食材は『イオン』で買えるからいらない」と言い出して。
 なんなら「もったいない、こんなことにお金を使うな」と怒り気味で。

「おまえが『イオン』に行けないって言うから送ったんだろう‼︎」という言葉をグッと飲み込みつつ、「私はお母さんから“ありがとう”と言われたかっただけなのに」と心の中でそっと呟く、切なさとイラ立ちが募るばかりの“親子会話あるある”。

 ちなみに、すでに宅配は打ち切りましたが、例に漏れずアプリはいまだ健在。
 本当に必要になったときにまた活躍してもらおうと思っています。

 あ、ちなみに最近読んだ本は村田沙耶香さんの『信仰』でした。
 イヤなことがあったときは本の世界に没入。
 私はそこに集中することで現実逃避をはかることがあるんだけど。
 それもまた、本屋に行かなくても読みたいときに読めちゃうからすごいよねぇ。

 アプリって便利だよねぇ。
 で、また周りから勧められるままにダウンロード。
 スマホ画面に増えていくアイコンのせいで、使いたいときに使いたいアプリが見つからない問題はどんどん悪化。
 今日もまた、老眼気味の目を皿にしながらスマホ画面をスワイプし続ける私なのです。

聞き手・構成/石井美輪 題字・イラスト/中村桃子

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©三山エリ

著者プロフィール

大久保佳代子(おおくぼ・かよこ)

タレント。1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。1992年、幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」結成。「めちゃ×2イケてるッ!」でのブレイク後、バラエティ番組にとどまらず、コメンテーターや女優としても活躍している。近著にエッセイ集『まるごとバナナが、食べきれない』 (集英社)『パジャマあるよと言われても』(マガジンハウス) など。

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