失踪願望。失踪願望。

第24回

奔流、フルサト、目黒がいない

更新日:2023/11/15

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4月1日(土)

 新年度というやつなので、手帳を買ってもらった。手帳なんてものを持つのは何年ぶりだろう。「明日は何があるんだっけ?」とぼくが家族に聞く頻度があまりにも高いので、自分で管理しなさいということなのだろう。ムーミンの手帳だ。けっこう見やすい。
「14時慶應病院」とか「17時新潮と犀門で」とかせっせと書き込む。

4月3日(月)

 大和書房から文庫『飲んだら、酔うたら』の見本が届く。正しくは忘れてしまったが、編集部からはあまりにも酒浸り堕落転落底辺酔いどれ人生的なタイトル案が出てきたので、否定もできないのだが、このようにちょっと柔らかなタイトルにした。
 ぼくが中学生ぐらいのときに「ゲイシャ・ワルツ」という歌がはやっていた。モロに大人の世界なんだなあ、でもよくわかんねーや、などと千葉のジャガイモあんちゃんはそう思っていた。わたくしのコトですが。
 そのあと、守屋浩というぼくより少し歳上の歌手が歌う「チイタカタッタァ、チイタカタッタァ笛の音があ~~」というのが流行っていた。好きなお姉さんが東京へ行ってしまった、という嘆きの歌だった。実はこれもよくわからなかった。
 でもまあ「芸者ワルツ」のほうの話だ。あとであらためて知ったのだが歌っているのは神楽坂はん子さんといった。いや浮子さんだったか。まあとにかく浮世離れしたあやしい曲名だな、と思って聴いていた。そのあまーいワルツの歌詞に「飲んだらあ、酔うたらあ、あ、踊ったらあー」というのがあってなんとも甘く、ずっと耳に残っていた。そのことを覚えていて文庫のタイトルにつかったのだった。(この歌詞もどうやら正確に覚えてなかったらしい。正しくは〈呑んだら 酔ったわ 踊ったわ〉だそうだ。いやはや)
 色まち、花まちの気配そのものだった。が一般的にはあまりなじみのない世界なんだろうと思った。飲んで酔わないとよくわからない語感の世界だったのかもしれない。
 最近、酒についてのエッセイが多い。飲む量は年相応に減っているのだろうけれど、「シーナはサケの仕事であれば断らないぞ」と思われているフシがある。まあ、たしかにそうなると断らないのだが。

4月5日(水)

 慶應病院へ行き、三村先生と談話のち薬をもらう。
 じかにうかがったのではないのだけれど三村先生は東大文学部を卒業。当初は文学世界をめざしたのだろうか。その後なんと慶應大学の医学部に入り直し医師になったようだ。世の中にはこのような秀才が本当にいるのだなあ、と驚いたものだ。
 先生を前にするとぼくはくらくらして怯んでしまう。そういえば作家の北杜夫さんも慶應出身で『どくとるマンボウ医局記』は慶応の精神科勤務の頃の話だった。
 北さんから一度ハガキを貰ったことがある。びっくりした。北さんのお嬢さんの仕事がらみでちょっとしたお役に立つようなことをしたことについてのお礼であった。筆まめな方なのだなあ、と驚いたものだ。ぼくもモノカキのハシクレとして見習わなければならないなと思った。あのハガキは北さんが躁のときに書かれものなのだろうか。もっとも鬱のときは横になって息をしているだけであとは何もしたくない、などとご自身が書いているからその答えはハッキリしている。
 帰宅して「どくとるマンボウ」シリーズの本をひっぱりだしたくなったが、いま本棚のある部屋はいたるところ本や原稿資料などが散乱状態になっていて、ちがう世界に行きそうなので断念した。

4月10日(月)

 NHKで「映像の世紀」をゆっくり見た。満洲国の回だ。結果的には、五族協和などは寓話にも値しない夢物語以下だった。東洋最速の超特急「あじあ」や李香蘭に幻想を抱き、アヘンが蔓延した国家。その情勢や政(まつりごと)の世界を当時は誰もヘンだと思わなかったのだろうか。それこそが世界情勢の綾だったのかもしれない。
 下手にお話なんか作るより、こういう映像を積み重ねた事実のほうがよっぽど力を持つように思う。NHKのドキュメンタリーものは見逃せない。シリーズではこの「映像の世紀」が素晴らしいが、気をつけねばならないのはすぐに戦争の世界に突入していくのでヘラヘラした気分では見られないことだ。
 歴史をなぞっての構成になるとどこかで戦争がらみの話になってしまうようだった。この番組を見ると、世界はつくづく戦争が好きなのだなあ、と思う。でもナレーターの女性の落ちついた声と話しかたで安心する。民放にはない大人のプロの語りだ。
 この番組はどうやって制作されているのだろうか、などということを番組を見ながらよく考える。
 決まってきた企画にそって膨大な映像資料を分析し、ひとつのテーマにしぼりこんでいく過程で自然にサブストーリーがいくつか引っ張りだされてきて、それらをさらに調査、追求していくうちにいくつものサブストーリーのエピソードがとんどん絡まってきて、やがて思いがけない本流になっていく、のかなあ。
「カラーフィルムを忘れたのね」という東ドイツの大ヒット曲を中心にベルリンの壁崩壊を描いた回では、元ドイツ首相のメルケルと、伝説のパンク歌手、画家といった三人の女性のそれぞれの異なる運命と意外な接点を活写してみせた傑作。何度みても感動する。
 加古隆さんの作曲した、この番組のテーマ曲をはじめとしたいくつかの旋律がやるせなく感動的で、ぼくはCDを買ってしまった。それを聞きながらよく原稿仕事をしているが、こっちは映像とはまるで違うアホばか話を書いていてもついついやるせなくなってしまうのが困る。その作曲家、加古さんの父親が絵本作家の「かこさとし」さんなのだろう、とぼくは思い違いをしていて、「加古さん」の曲を聴くたびに「かこさん」のことに連想がいき、わが子育て時代にかこさんの絵本に何冊もお世話になったのを思いだす。

4月12日(水)

 黄砂が飛んでくる、とテレビがしきりに騒いでいるのでおとなしく自室で「すばる」の小説原稿を書く。春になってきたのでカエルがもがいているみたいに小説も書こうと思えるようになった。
 書き上げた頃はさあメシだ酒だという時間になっていたが、わがツマの一枝さんが東北に出張に行って不在なのであった。久しぶりに新宿に向かい、いつものメンバーで酒を飲む。
 ちょうど「本の雑誌」の「活字吹雪でお別れ号」の発売日で、誰かが紀伊國屋で買ってきた。表紙用に「さらば友よ!」と書いたのだが、自分で書いた字がなんだか悲しげだ。誌面は目黒関係ばかりだ。
 おのずとその日は「本の雑誌」の創刊時の頃や、目黒の話になった。
 本の雑誌は字ばっかりの誌面なのにどんどん厚くなっていって「ライバル誌は『文藝春秋』だなあ」などと笑い合っていた。厚さに合わせたレイアウトや書体にする案もあったが、まあ変わらないのも本の雑誌らしいので、それで良かった。
 目黒は当時、髙村薫を絶賛していたから、『リヴィエラを撃て』を読んだら、よく分からなかった。数回読んで、やっと面白さがわかった。
 書評家と作家は離れていたほうがいい、が信条だった。そのくせ「椎名、文壇でもっとも色気があるのは髙樹のぶ子だ。いちばん美人だぞ」と何度か言っていた。
 脈絡はないけれど、思いつくままにそんな話をした。湿っぽくなるのは嫌だったが、みんな楽しそうに話を聞いてくれた。目黒本人は普段は陽気ではないが、目黒というキャラクターの話題になるとみんな楽しく話ができる。実は彼は安心な水と光を持った男なのだ。
 少し飲みすぎた。家に帰って水を一杯飲んでから、もう夜中だったが、「本の雑誌」をじっくり読んだ。

4月14日(金)

「本の雑誌」の原稿を書く。
 内容は私小説に近いものなのだが、いまちょうどオカルトポルノ的なシーンを書いていて、書いていると自分で蓋をしていた井戸から記憶がとめどなく連鎖して這い出てくる。書く材料としてはありがたいのだが、何か不祥が出来(しゅったい)したのではないかと居心地は良くない。
「本の雑誌」はわが編集人生のこころのフルサトのようなもので、いつもどこかに大きく存在している。
 そこに原稿を書くのは、創刊以後何十年たっても新鮮な気分になる。ある種の里がえりみたいな安心感だろうか。
 でもその雑誌を一緒に創刊し、長いあいだ苦労や喜びをともにしてきた目黒考二がいまはいない。例えとしてはヘンかもしれないが、目黒はいつも厳しく優しい〝ふるさとみたいな〟存在だった。奴のいない世界は思いがけないくらい巨大なものを失った、枯れ野のような世界だった。
 まさしく「さらば友よ」だった。節目節目でぼくはごく自然に文芸評論家(北上次郎)としての彼からのストレートな指摘、意見、可能性などを受け、それをいつもちゃんと真剣に聞いていた。
 彼がまだ元気だったころ、「椎名、逃げるな」と言われた。
「私小説の怒涛の奔流であるものをまだ椎名は書いてない、それはずるいじゃないか」と。
 目黒のいう「怒涛の奔流」とはセクスアリスのことだった。「突かれているな」と思った。彼の死に出会ってしまってそれを思い出した。
 いま、ぼくは目黒のいう「本質」に自分なりに挑んで向かっている――つもりだ。「本の雑誌」に連載中の青春の私小説が、新しい「小説世界」に変化しているような気がしている。
 その小説が一冊になるのは2024年の半ばぐらいになるのだろうか。それは目黒とぼくのふるさとである「本の雑誌社」から23年ぶりに出してもらう初の私小説になれるだろうか。

4月15日(土)

 情けないことに時折、前触れのない倦怠感や脱力感に襲われる。以前はそういう時、本を読んでいるうちに普段の感情を取り戻していたが、それもあんまり効果がない。酒を飲んでもあまりうまくない。

4月17日(月)

 少し体調が悪いので病院を経由して、神保町でこの「失踪願望。」の打ち合わせをする。
 気候も良くなってきたので、来月あたり浅草橋や小伝馬町、馬喰町を散策してみようという話になり、少し気持ちが上向き、いつもの「源来酒家」で春巻とビールをやる。

4月19日(水)

 ニューヨークにいる娘から電話があった。
「ワカタカカゲ」
 開口一番、彼女はこう言う。
「ワカタカカゲ」
 これに対する応答は「○カサゴヤ」である。
 サウンドが面白いという理由だけで我々は無意味に言い合っているのだが、オレオレ詐欺などが跋扈する世の中で、家族間でそういった合言葉を決めておくのは大切らしい。わが家は知らず知らずのうちに最先端の防犯対策がなされていたのだった。でも、ここで書くとワルモノが電話してきて「ワカタカカゲ」と言うかもなあ、金を巻き上げられてしまいそうなので符丁は伏字にしておこう。

4月22日(土)

 近所にイタリアンができて、気の利いたパスタを出すので時々、行く。という話をしたら、この連載の担当Tさんと事務所のWさんが「食べたい! すぐ食べたい。週末に行こう」と反応が早い。
 ペローニというイタリアビールで乾杯する。ちょっと感じる苦味がうまい。生ハムやトマト、レンコンなどがどでーんとのった前菜の盛り合わせをつまみながら、フルボトルの赤ワインが空いていく。最後はホタルイカの手打ちパスタだ。グラッパも飲む。ボーノボーノだった。
 途中、韓国に取材中だというタケダから「くそう」と焼肉の写真が送られてきたが、皆で無視した。

4月25日(火)

 連休に公開予定の『帰れない山』のパンフレットが届いていたのでパラパラとめくる。モンテ・ローザ山麓のいい写真を贅沢に使っている。
 この映画は、ここ10年でぼくが観た新作でいちばんだ。映画とはこうやって作るものなのだ、というのがよくわかる作品でもある。
 ソビエト時代にセルゲイ・エイゼンシュテインという監督がいた。彼は何か対象物にフォーカスして、観る者に別の何かをイメージさせる技術に長けていた。複数の視点からのカットを合わせて1シーンにする「モンタージュ」と呼ばれる技法も彼の時代に確立されたものだが、ぼくも映画を撮る時は参考にさせてもらった。
 この『帰れない山』はエイゼンシュテインの名前をふいに思い出すくらいに、そのあたりの技術が巧みで、主人公を撮りながらも、その父親や親友を想起させるような効果的なシーンがいくつもあった。
 どの映画にも伏線や罠や裏切りはある。しかし、表現が難解だと観客が気づかないし、逆にあからさまだと興が醒める。そのバランスを取るのが監督の腕の見せ所なのだが、これがこのフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンというベルギー人監督は巧みだった。
 同じアングルからの映像で時間の経過を表現してみせたり、あえて遠い視点から斜俯瞰でパノラマで撮って自然と重ねたり、常套手段ではあるのだが、そのどれもが見事にはまっていた。
 パンフレットに寄稿したので、実はそのあたりをすべて書きたかったのだが、一部しか書けなかった。
 映画のパンフレットというのは書き手にとってはかなり難しい部類の媒体だ。まず観客が映画を観る前に読むのか、観た後に読むのか分からない。どちらにしても面白さを損なわない文章にしないといけないけれど、だからと言ってもったいぶった結果、感想がボヤけるのはうまくない。いっそ、観る前用と観た後用の2冊作れば、いいのにとすら思う。まあとにかく久しぶりに映画の良さを確認できる作品に出会えた。

4月28日(金)

 新宿「犀門」で新潮社のメンバーと打ち合わせ。新しい企画の話や、目黒の話をする。酒は黒ビールと焼酎お湯割りに梅干しを落としたもの。
 同席者が「最近、ブックディレクターとか選書家なんていう肩書きの人が増えてきたけれど、その源流は全部、目黒さんだもんなあ」と言っていた。

●この月の主なできごと

4月1日
◇自転車のヘルメット着用が全年齢、全地域で努力義務となる。1日付の改正道路交通法の施行に伴い。
◇三笘薫選手(ブライトン所属)が、イングランド1部リーグで今季7ゴール目を記録。プレミアリーグの日本人選手のシーズン最多ゴール数を更新。
◇第95回選抜高校野球球大会で、山梨学院が兵庫の報徳学園を7対3で降して初優勝。山梨県勢として春夏通じて初めて決勝に進出。

4月2日
◇音楽家の坂本龍一さんが3月28日に死去と発表。2014年に中咽頭がん、2021年に直腸がんを公表し療養しながら精力的に音楽活動、社会活動を続けていた。享年71。

4月3日
◇作家、東野圭吾さん(65)の著作100冊の国内累計発行部数が1億7万7380部を突破したと関係出版社が共同で発表した。2006年の直木賞受賞作「容疑者Xの献身」は累計299万3千部のベストセラーに。

4月5日
◇政府はOSAこと「政府安全保障能力強化支援」なる枠組みの創設を国家安全保障会議(NSC)で決定。これにより同志国の軍に防衛装備品などを提供することが可能に。

4月6日
◇ムツゴロウさんの愛称で親しまれた作家で動物研究家の畑正憲さんが5日に心筋梗塞のため死去と発表。享年87。

4月9日
◇統一地方選挙前半戦の投開票が行われ、大阪では前回に引き続き、地域政党・大阪維新の会が知事と大阪市長のダブル選挙を制した。道府県議会議員選挙では、41のうち30の道県で過去最低の投票率に。

4月10日
◇AIサービス「ChatGPT」を開発・運営する米オープンAI社のサム・アルトマンCEOが来日。岸田首相と面会した。ChatGPTは個人情報保護規制の観点から欧州地域で規制強化の対象になっている。

4月10日
◇ダライ・ラマ法王が謝罪。公開イベント中に少年とキスしたり、キスを迫るなどした動画が拡散され。遊び心(からかい)による行為だったと釈明した。

4月12日
◇総務省は、昨年10月1日時点の人口推計を公表。日本の総人口は12年連続のマイナスで前年比55万6000人減の1億2494万7000人。東京都を除く46道府県で減少した。
◇カウアン・オカモトさんが日本外国特派員協会で記者会見。ジャニーズ事務所に所属していた15歳当時、ジャニー喜多川元社長から15回~20回の性的被害を受けたと明かした。

4月14日
◇警視庁はガーシー元参院議員(東谷義和容疑者)を14日付でICPO(国際刑事警察機構)通じて国際手配した。動画投稿サイトで有名人を脅迫したとして暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの容疑で。
◇大阪のIR整備計画(統合型リゾート整備計画)を国が初認定。大阪夢洲地区を活用したカジノを含む統合型リゾート施設を2029年に開業する方向。

4月15日
◇和歌山県雑賀崎漁港で、衆院補選の応援演説で訪れていた岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれ24歳の男が威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕。首相にけがはなかった。

4月16日
◇歌舞伎俳優の市川左團次さんが15日に死去と発表。享年82。

4月19日
◇国連人口基金(UNFPA)は、2023年半ばにはインドの人口が中国を上回り14億2860万人で世界一になるという推計を発表。
◇神尾葉子さんの人気漫画「花より男子(だんご)」(集英社)が、「最も多く発行された単一作者による少女コミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定。

4月20日
◇起業家イーロン・マスク氏が創業した米宇宙企業スペースXが開発中の史上最大のロケットと宇宙船「スターシップ」を初めて打ち上げたが、空中で爆発、失敗に終わった。

4月21日
◇アフリカ北東部スーダンで国軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)が激しい戦闘を続けていることを受け、在留邦人退避に向けて航空自衛隊輸送機がジブチへ出発。
◇2022年のノーベル平和賞受賞者・ベラルーシの人権活動家アレシ・ビャリャツキ氏の上訴が棄却され禁錮10年が確定。

4月24日
◇フランス国軍が仏国民や日本人を含む外国人計388人をスーダンから退避させたと仏政府が発表。日本政府派遣の自衛隊機も在留邦人45人を近隣国ジブチに移送。

4月25日
◇第27回手塚治虫文化賞が発表され、特別賞に楳図かずおさんが選出。マンガ大賞は入江喜和(いりえきわ)さんの「ゆりあ先生の赤い糸」(講談社)など。

4月26日
◇厚生労働省傘下の国立社会保障・人口問題研究所は、日本の現在の総人口(1.2億人)が2056年に1億人を割り、2070年には8700万人前後になるとの予測を発表。出生数は2070年時点で年50万人まで減る見通し(現在は年80万人前後)。2020年度の国勢調査の結果を基に推計。

4月27日
◇哲学のノーベル賞といわれる「バーグルエン哲学・文化賞」を哲学者の柄谷行人さん(81)が受賞、贈賞式が行われた。柄谷さんはアジア初の受賞で、賞金は100万米ドル(約1億3300万円)。
◇中国共産党が規則に違反し飲酒をしたとして反腐敗の取り締まりなどを行う党中央規律検査委員会が党幹部5人を処分したと発表。昨年の研修期間中、アルコール度数の高い白酒を7本飲み、1人が死亡したという。

4月28日
◇新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行。文部科学省は「1m空ければ給食では黙食不要」「実験は少人数で」等の学校向けの衛生管理マニュアルを改定通知した。
◇人工妊娠中絶のための「飲む中絶薬」について、厚生労働省は、国内で初めて製造販売を承認。妊娠9週までの妊婦が対象。
◇プロ野球・佐々木朗希投手(21)(千葉ロッテマリーンズ)が対オリックス戦で、プロ野球の日本選手最速タイとなる165キロを計測した。

4月29日
◇世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が東京都多摩市内に約6000平米の土地を購入していたことが判明、周辺住民の一部が教団の撤退を目指す団体を設立した。

Ⓒ 撮影/内海裕之

著者プロフィール

椎名 誠(しいな まこと)

1944年東京生まれ、千葉育ち。東京写真大学中退。流通業界誌編集長時代のビジネス書を皮切りに、本格デビュー作となったエッセイ『さらば国分寺書店のオババ』(’79)、『岳物語』(’85)『犬の系譜』(’88/吉川英治文学新人賞)といった私小説、『アド・バード』(’90/日本SF大賞)を核としたSF作品、『わしらは怪しい探険隊』(’80)を起点とする釣りキャンプ焚き火エッセイまでジャンル無用の執筆生活を続けている。著書多数。小社近著に『遺言未満、』。

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