失踪願望。失踪願望。

第17回

メロディ、旅人、蛍の光

更新日:2023/02/15

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9月1日(木)

「アサヒカメラ」の写真連載から「表情豊かな子どもたち」を軸にまとめてくれた新刊『出てこい 海のオバケたち』の版元である千駄ヶ谷の新日本出版社に行って、100冊ほどサインを入れた。
 感情を無邪気にとらまえることができるので子どもの写真を撮るのは面白い。その延長線上に親子の写真があって、家族もいい時を過ごしているといい写真になる。だからお祭りやお出かけをしている家族は被写体としていちばん好きだ。そんな写真をまとめてくれたのがうれしい。

9月6日(火)

 仲間らと麻雀をやっている時、音楽をかけることがある。だいたいは演歌なのだが今夜は井上陽水だった。風にふるえる緑の草原~、と聞いたことのある曲が流れてきた。加山雄三の「旅人よ」だ。陽水が歌っている。他人の曲を歌うことをカバーというらしい。トクヤが教えてくれた。新宿というアジアでも最大級の繁華街のビルの谷間でこういうアクティブな歌詞を聴くと妙な気持ちだ。
 椎名さんは音楽を聞くイメージがないと言われたことがあるが、そんなことはない。むかし清志郎のライブに日比谷の野音に行ったことがある。ずいぶん前だが東京FMで4年ほどDJをやっていた時のことだ。その頃はあらゆるジャンルのCDをかけたので、乱雑に聞いていた。東京から北は毎日夜11時から15分間。大阪は8時から。夏はナイターがライバル局になった。たいして知らない曲をかけ続けた。
 旅にウォークマンを持参することも多かった。喜多郎の「シルクロードのテーマ」が好きで一時、よく聞いていたのだが、旅先でこれを聞くとどこでもシルクロードみたいにラクダの隊列が出てきそうな気がしてくる。映像と音楽の結びつきは強いのだなあと思う。
 子どもたちが幼かった頃、家のなかにいろんな歌が流れていた。妻の一枝さんは長いこと保母さん(保育士)をしていたので仕事をしながら明るく歌う、という日常に慣れていたのだ。家のなかに生活歌と仕事歌が一緒になってひらひらしていた。思えばいい時代だった。
 その頃は休日になると家族でよくハイキングに行った。武蔵野に住んでいたので東京郊外の小さな山によく行った。
 山の帰り道に母子はよく歌っていた。ぼくもときどきドラ声で歌った。
 雨模様のときに元気づけるために歌ったのをときどき思いだす。
 
 雨がふるう(雨が降り)
 てるてる坊主がなーいても(てるてる坊主が泣いても)
 わたしたちはなたないよ(わたしたちは泣かないで)
 やーまをみつめる(山を見つめる)
 やまのとはー(山の子は)
 やまのとはー(山の子は)
 みーんなつーよいよー(みんな強いよ)
 
(娘の葉が就学前で言葉がうまくまわらなかった)でも元気よく歌っていて、ああ、歌っていいものだなあ、と思った。
 ぼくが好きな音楽がいくつかあった。みんな旅先で出あったものでバザールのようなごちゃごちゃした露店やデンジャラスな気配のするところの写真を撮るのが目的だった。
 チベットとかブータンでの露店でよくテープを買った。よくわからないものが多かった。タイトルがわからない。読み方がわからない。でも「オンマニペメフム」(チベット仏教で最も唱えられているマントラだという。「南無阿弥陀仏」といった感じか)というコトバをひたすら唱えているヒトツの曲に魅せられた。
 タイトルは読めない。ローマ字読みで「タイチ」だ。何語で歌っているのかもわからないが、とても好きな曲だった。聞いているとこころがやすらぎ、涙が出てくる。旅用品が地下のガレージに雑多にほおりなげてあるのでまだそこにあるのだと思う。
 
 パタゴニアを数日かけて馬で移動していたときカントリーウエスタンの「ホンキイトンクメン」というのをよく聞いていた。
「おれはよっぱらいだあ」という内容の歌で不思議に荒野の風によく似合った。
 そのころ井上陽水の「青空、ひとりきり」を岸洋子さんが唄ったのが好きになった。
 岸さんとは唯一親交があった。一枝さんも岸さんの歌が好きなので一緒によくコンサートに行った。ステージへ花束を渡しにいったこともある。銀座の博品館が最後のコンサート。
 岸さんの歌でいちばん好きなのはとべあきよさんの作詩による「アンデスの風になりたい」だった。
「リエンテール号」という小さなチリの軍艦でマゼラン海峡を南下していたとき甲板に寝ころがって視界いっぱいにつらなるアンデス山脈を眺めながら聞いていた。
 グンカン鳥がいつまでもあとを追ってきた。グンカン鳥の翼はするどく、体にかすりでもすれば切れそうな恐怖があった。
 パタゴニアの原野を旅しているとコンドルとよく出会った。羽をひろげると三メートルぐらいあるすごいやつだ。
 軍艦を降りると馬で旅の続きをした。そのころがぼくの人生の旅で一番好きな時代だった。
 岸さんの歌う「黒い鷲」も好きだった。ある日、大きな鷲が舞い降りてきたのよ、という歌だった。パタゴニアには大きな鳥の歌がたくさんある。
 何度目かのパタゴニアの旅から帰国するとき、少し親しくなった宿の隣のジーンズ屋の娘さんが戸口によりかかって「アベマリア」を別れの歌としてうたってくれた。スペイン語のアベマリアだった。嬉しかった。それから「アベマリア」という歌が好きになり私小説にわかれの歌として書いたことがある。

9月11日(日)

「椎名誠の地球どこでも不思議旅」という講演のために名古屋へ。
 こういう時には食べ物の話が無難なので、ワニ、ヘビ、アザラシ、イッカククジラなどの写真を20点くらいスライドで映しながら解説した。スライド、といってもぼくには難しいので準備してくれたのはもちろんスタッフのWさんだ。
 食い物の話をしたら腹が減ったので名古屋駅構内のいつも行く焼き鳥屋へ。ワニの砂肝などはもちろんないので名古屋コーチンのレバーを食べた。ビールとハイボールを飲む。

9月14日(水)

 朝からKADOKAWAの角川歴彦会長が東京五輪の贈賄容疑で逮捕されたというニュースが飛び込んでくる。出版とオリンピックなんて無関係と思っていたけれど、いろいろな利益があるんだろう。
 この件と関係するのかは分からないが、KADOKAWAは近年、組織が巨大になりすぎて名物編集者的人物が生まれにくくなってしまったような気がしていた。どーんと構えた総大将のような存在がいないのだ。
 以前、角川春樹さんにインタビューをしたことがあるのだが、インタビューが始まると「ちょっと待ってください」といきなり掌を床に向けてしばらくそのまま動かなくなった。少しして立ち上がると彼は「はい、今、地震を止めました」と言った。あとで別の現場でも同じことをしていたと人に聞いた。角川春樹さんは編集者というより芸術家だったので「変わってるなあ、この人」くらいに思っただけだったが、こういう個性のある人は現在はいないのだろうか。
 そんなことを思っていたらKADOKAWAで「怪と幽」という雑誌の編集長をしている似田貝君からタイムリーに電話がかかってきた。
「これから君も出頭するのか」と聞くと違うようだ。前述の『出てこい 海のオバケたち』に彼の写真を使ったので本を送ったら、そのお礼の電話を律儀にしてきたのだった。彼は「白飯おかわり君」の異名を持つくらいコメが好きなので大盛りご飯を持った写真を載せたのだ。
 ちょうど良かったので今回のことをいろいろ聞いたが「ぼくのような下っ端には分からないことだらけですが、事実だったら捕まって当然ですよね。迷惑な話です」と冷静だった。

9月15日(木)

 集英社でカフェオレを飲みながら、この連載の打ち合わせ。といっても阿炎(あび)が休場で秋場所はつまらないとか、ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』のジャン=ポール・ベルモンドは艶のあるいい男だなどといった与太話も多かった。
 打ち合わせが終わるとビアホールか中華料理店に行くのがいつものパターンだが今日は小川町のイタリアンへ。花乃碗という店だ。イイダコやムール貝がうまく赤ワインが進む。

9月22日(木)

 月に一度通院している慶應病院へ。特に異常がないことを確認したのでその足で池林房へ行き生ビールを飲む。そのあと麻雀。今夜も陽水が歌う「旅人よ」を何度も聞いた。ああ……旅に出たくなった。

9月27日(火)

 テレビをつけると日本武道館で行なわれている国葬がらみのニュースばかりだった。あまりにバカらしいのでテレビを消して原稿をずっと書いてた。
 ニュースで国葬と聞くとムカムカする。それでなくともこの国の数年は気分の悪くなることばかりだった。日本がどんどんバカな国になっていく。それも国のカネ(税金)をひたすら使ってバカへの突撃だ。世界の国のいろんな風景をみると古代から巨額の金を使って巨大な墓を作った跡ばかりだ。むかしの国王はオロカ者ばかりだったのだなあ、と思うが、そういう巨大な古代の陵墓を作ったのはその下にかしずく者たちだったのだなあ。

9月28日(水)

 作家の嵐山光三郎さんに言われたことがある。「シーナよ。おれたちも歳をとってきたなあ。作家なんて仕事はな、瞬間風速みたいなモンだから、どこか幕引きがいるんだよ。仕事だってそんなにずっと続くなんて思うな。親しくしていた編集者だってどんどん定年になってやめてくんだよ。あたらしい編集者が出てくるけれど、みんなおれたちより歳下だからな、そんなじいさんに頭さげてなにか仕事頼むよりも、どんどん出てくる若い作家に何かいいつけたほうがハイハイって喜んでなんでもやってくれる。だからだんだんじじい作家は暇になっていくもんなんだよ」――なるほどなあ。こういうのを尊いおしえというんだろうなあ。そう思った。
 新宿の「犀門」で新潮社の今泉さんと楠瀬さん、長谷川さんと生ビールの会。「ハハハア」とかしずいてお迎えし、上座(どっち側だったかな)らしき席に座っていただく。
 両人とも長いつきあいだ。いろいろぼくが興味をもつコトを理解してくれて、これまで30年間ぐらい「書く気のわいてくる」本を書かせてもらった。今泉さんはノンフィクション系、楠瀬さんはフィクション系(小説)だ。文庫は長谷川さん。ほかにも担当スタッフはたくさんいた。旅取材が多かったからいろいろ変化にとんで笑うしかない出来事がいっぱいあった。わが編集者との大バカ旅、なんていうタイトルでいろんな話が書けそうだ。
「すすれ! 麺の甲子園」の連載は「小説新潮」で2年ぐらい続いた。5、6人チームでの全国取材旅だった。日本中のあらゆる麺(ながいもの=そば、うどん、ラーメン、ソーメン、スパゲティ、ハルサメ、ヒヤムギ、シラタキ、イトコンニャク)などを食っていって日本一を決める! という壮大な全国取材ものだった。
 今日はビールを飲んでいるだけでなく次の取材テーマを決める打ち合わせでもあるのだった。「漂流者は何を食べて生き延びたか」というテーマで3年ほど雑誌の連載をした。ぼくは漂流は好きだが漂流したままというのはキライだった。その系統で「遭難者とそれから逃れた人」というようなテーマでの連載を相談された。もってこいのテーマだった。話はその周辺からいろんなところにすすみ、ビールの酔いがここちよかった。

9月30日(金)

 豪雨災害で不通だったJR只見線が11年ぶりに全線復旧するという。その記念式典に出席するために北に向かう。イベント自体は明日なのだが、午前中の開催ということで主催側から「郡山や会津若松あたりに前泊してくれないか」という要請があった。
 ビジネスホテルに泊まるのも味気ないので、ここは久しぶりの奥会津だからと彼の地を愛する太田トクヤに声をかけたら、どうせなら若いもんに運転させましょうと雑魚釣り隊の太陽とタケダに連絡が飛んだ。そのあたりの噂を聞きつけ、3年前に沖縄に移住した西澤が俺も行くから羽田まで迎えにきてくれとタケダに要請したらしい。すると西澤の息子の快が「オヤジは沖縄に住んでから人格破綻が進んでしまった。心配だから俺も行きます」と志願してきた。
 太陽とタケダが気をきかせて大きめのレンタカーを借りてくれ「まだ乗れまっせ」と報告してきたので、この春に大学生になった孫の風太が「地方に伝わる風習や文化に興味が出てきた」と言っていたのを思い出し、彼を誘うと「行ってみたい」とのことなので風太も参加。70代から10代までの男ばかり7人だ。
 新宿を起点に羽田空港で西澤を拾って北に向かう。西澤は日焼けして元気そうだ。「おかげさんで無事に暮らしてますが、沖縄に足りないものを挙げるとしたら日本酒と温泉なのさあ」とわざとらしい沖縄のイントネーションで嬉しそうに話していた。
 旅慣れたタケダが一連の幹事を務めてくれたが、彼が最初に予約したのは東京と奥会津の中間点くらいに位置する鬼怒川温泉の安ホテルだった。ぼくはすぐさま反対した。あのあたりは昨今、かつての大型ホテルが廃墟と化し、なんだか不気味なのだ。年齢がまばらな男7人でそんなエリアに泊まってどうせ酒をたくさん飲むだろうから、中居さんたちに「あの人たちヤケクソ気味に酒を飲んでいるわね」「きっと運送会社の夜逃げよ」とか陰口を叩かれるのは嫌だ。「運送会社は嫌だよ」とタケダに伝えると「よくわかりませんが他のところを探してみます」と、福島県の須賀川というところに巨大な一軒宿を借りてくれた。
「響きの宿」というその2階建てのコテージは100平米とほとんどヤケクソ気味に広く、雑魚寝だったら200人くらいは泊まれそうである。自炊設備や囲炉裏、グランドピアノまである。キャンプ場も併設されていてこのコテージも含め、どれも完全貸切らしい。このコロナ禍でかなり人気だという。
 一泊なので自炊するには短すぎる。快や風太がスーパーで冷凍の餃子やできあいの寿司など簡易的なものを買い込んできた。ぼくはチキンラーメンを2個食いして、それが夕飯だった。
 食後に風太は焚き火台を使い、炎の前でタケダや快と何やら話し込んでいた。23時が過ぎ、まだ我々はダラダラ酒を飲んでいたのだが、幹事のタケダが「明日は仕事なんだから寝なさい」と正しいことを言ってきた。トクヤは「嫌だ。まだ眠たくない」と子供のような反論をしていた。彼は居酒屋経営者なので眠くないのは当たり前なのだが、明日はぼくも仕事なのでそろそろ寝たほうがいいだろう。風太に「蛍の光」を弾いてくれとお願いした。
 風太は「わかった」と短く応じた後、グランドピアノで楽譜も見ないで流暢にスコットランドでいちばん有名な民謡を弾いた。そのメロディをしばらく聞いているうちにバカで単純なトクヤは「なんだかそろそろ寝ないといけない気がしてきたな」と床についたのだった。
 西澤の息子、快君、ぼくの孫、風太君の参加は新鮮だった。同時におれたちの老化をいやがおうにもしみじみ感じさせられた。夜更けに二人して焚き火している後ろ姿が夜の闇にまぶしかった。
 風太はアメリカにいた頃から父親とよくキャンプに連れていってもらっていた。ああいう開放的な世界が好きなようだ。サンフランシスコに住んでいた幼い頃、舌が回らず「サンコンカンのゴールデンブリブリブリッジ」と言っており、面白かった。
 日本とアメリカではキャンプのスケールが違うが、帰国後も親子でそれなりに面白く飛び回っているようだ。奥会津の純日本的な風景を眺めて何を思ったか聞いてみたい。
 西澤の長男、快君とよく行動していた。快はいい青年になった。西澤の豪快ランボウ体質のなかでよくまあバランスのとれた心地のいい青年に育ったものだ。快はもうすぐ結婚します、と言っていた。キチンと報告をしてくれた。いい家庭を作ってほしい。

●この月の主な出来事

9月1日
◇NY市場で円安が進み、一時、1998年以来24年ぶりとなる1ドル=140円台に。
◇新型コロナウイルスの国内感染者数は、新たに14万9906人。8日連続で減少傾向。死者の累計は4万258人に。

9月2日
◇ミャンマー国軍が拘束しているアウンサンスーチー氏に新たに禁錮3年の有罪判決、禁錮刑は計20年に達することから政治生命を奪う狙いか。
◇故安倍元首相の国葬の企画・設営等の業務を「桜を見る会」の設営を担当したイベント会社が担当することが判明、首相は業者選定について「適正な手続きに基づいて行われた」とコメント。

9月3日
◇ロシア軍占領下にあるザポリージャ原発について、IAEA(国際原子力機関)は3日、主要な外部電源との接続をすべて失ったと発表。

9月4日
◇カナダ・サスカチワン州で次々と人が刺され、10人が死亡、15人が負傷する事件が発生、容疑者の男2人は逃走。先住民居住地区から最初の通報が入った後、次々に通報が続き13か所に広がった。

9月5日
◇東京駅前の交番に現れた上半身裸の男が、持参した包丁で自身の胸を刺し搬送先の病院で死亡。20代とみられ身元の確認をしている。
◇英国の新首相に、トラス外相が選ばれ、英国史上3人目の女性首相へ。

9月6日
◇安倍元首相の「国葬」費用総額は警備費、海外要人の接遇費などを含めると約16億6千万円になることが発表。

9月7日
◇静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」に通う3歳女児が通園バス内に取り残されて死亡した事件で、園が保護者説明会を開き謝罪。説明会では体調不良を訴える保護者が相次ぎ、延べ10台の救急車が出動する事態に。

9月8日
◇自民党が党所属国会議員と旧統一教会・関連団体との関係についての点検結果を公表、衆参両院議長を除く379人中179人に接点があったことが明らかに。
◇東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は大会組織委員会会長だった森喜朗元首相を複数回、参考人として聴取していたことがわかった。元理事・高橋治之容疑者とともにKADOKAWAの会長とも面会していたと判明。
◇英国・エリザベス女王が死去。享年96。在位70年は英国君主として歴代最長。

9月9日
◇加山雄三さんが東京国際フォーラムでラストコンサートを開催。85歳。
◇八重洲ブックセンター本店が2023年3月で閉店すると発表。ビル再開発で。

9月10日
◇英国・チャールズ国王が公式に国王に即位。天皇は19日に予定されているエリザベス女王の国葬参加を調整中と報道。
◇宮崎駿監督が『となりのトトロ』の構想を練った森として有名な埼玉県の雑木林保全を目的に、市が行ったクラウドファンディングが開始から10日で2500万円の目標額を達成。
◇中秋の名月。2年連続で満月と同じ日に。

9月11日
◇沖縄知事選で玉城デニー氏が再選。
◇岸田内閣の支持率41%。不支持率は47%となり就任以来初めて不支持が上回る。

9月12日
◇鎌倉市議会が国葬撤回求め「国葬を国費で行うことは、国家が一方的な評価、価値観を国民に強いることになる」などとする意見書を可決。6日の、葉山町の意見書提出に続き。
◇サッポロビールが35年ぶりにヱビスビール誕生の地、恵比寿でビール製造を再開すると発表。現「ヱビスビール記念館」を約13億円かけて改装し23年末に一般向けに体験施設もオープン予定。

9月13日
◇ジャン=リュック・ゴダール監督死去。スイスで認められている医師による自殺ほう助で。享年91。「病気ではなかった。ただ彼は疲れ果てていた」と関係者のコメント。
◇ヤクルト・村上宗隆が、55号本塁打達成。22歳7カ月で王貞治氏の最年少記録を更新。
◇新型コロナ接触確認アプリCOCOAの運用停止を発表。時期は未定。

9月14日
◇KADOKAWA会長の角川歴彦氏が逮捕。五輪汚職事件で贈賄容疑。
◇タイ最高裁は、2002年に公開されたディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』の撮影により島の環境が破壊されたとして、撮影を許可した森林当局に現場となったピピ島・マヤ湾の原状回復を命じる判決。

9月15日
◇人間国宝の平良敏子さんが14日に死去と発表。享年101。沖縄の伝統的布織物・芭蕉布の復興と継承に尽力。
◇人々を笑わせ考えさせられる発明に贈られる「イグ・ノーベル賞」で、つまみを回すときの指の使い方を研究した千葉工業大学の松崎元教授(デザイン学)らが「工学賞」受賞。日本人の受賞は16年連続。

9月16日
◇イランで女性に義務づけられている髪を隠す布「へジャブ」の着用が不適切だと逮捕された22歳の女性マフサ・アミニさんが、連行後意識を失い16日に死亡した事件で、警察の暴行を疑う声が広がる。ライシ大統領は内務省に捜査を指示。

9月17日
◇世界最大規模のビール祭り「オクトーバー・フェスト」が3年ぶりにドイツ・ミュンヘンで開催。17日間の開催期間中、例年約600万人が来場する。会場でのマスク着用義務はなし。

9月19日
◇英国エリザベス女王の国葬がウェストミンスター寺院で執り行われた。天皇皇后両陛下ら約500人の要人が世界中から参列。

9月22日
◇3年ぶりに本格的な対面形式で開催された国連総会で、ウクライナ・ゼレンスキー大統領が録画演説。例外的な事前収録についての決議は、賛成101、反対7、中国など含む棄権が19。
◇消費税「インボイス制度」に登録した約20万件の個人事業主の本名等が国税庁のウェブサイト上で誰でもダウンロードできるようになっていた問題で、22日夜、同庁が一時的にサイトを停止。

9月26日
◇安倍元首相の国葬にミャンマー国軍関係者が招待されたことに「暴力の正当化」と日本在住のミャンマー人ら40人が外務省前で抗議活動。
◇ロシア西部ウドムルト共和国の都市イジェフスクで男が学校に侵入して銃を乱射。少なくとも子ども11人を含む17人が死亡。男は現場で銃を使って自殺。

9月27日
◇安倍元首相の国葬が日本武道館で開催。国内外から4183人が参列した。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂氏以来55年ぶり。
◇ノンフィクション作家の佐野眞一さんが26日に死去と発表。享年75。

9月30日
◇人気演芸番組「笑点」のレギュラーとして親しまれた落語家の三遊亭円楽さんが死去と発表。享年72。

Ⓒ 撮影/内海裕之

著者プロフィール

椎名 誠(しいな まこと)

1944年東京生まれ、千葉育ち。東京写真大学中退。流通業界誌編集長時代のビジネス書を皮切りに、本格デビュー作となったエッセイ『さらば国分寺書店のオババ』(’79)、『岳物語』(’85)『犬の系譜』(’88/吉川英治文学新人賞)といった私小説、『アド・バード』(’90/日本SF大賞)を核としたSF作品、『わしらは怪しい探険隊』(’80)を起点とする釣りキャンプ焚き火エッセイまでジャンル無用の執筆生活を続けている。著書多数。小社近著に『遺言未満、』。

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