まるごとバナナが、食べきれない 大久保佳代子

第3回

コンビニの鍋焼きうどんが私の一番の滋養強壮食

(『Marisol』2017年1月号掲載・単行本未収録)

更新日:2022/10/26

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―「もしも」に備えて枕元に携帯を。病にふせる妙齢女子の孤独感―

 デジタル体温計などまだ存在しなかったあの頃、熱を測るといえば水銀体温計でしたよね。
 また、あれがトントントーンッと刺激すると、水銀がググッと上がるっていう、学校を休みたいときには便利な仮病グッズでね。「今日は行きたくないな」という日は布団の中でトントントーンッ。よくズル休みをしたものです。

 というのも私、道端に生えているものをオヤツ代わりに、幼い頃から拾い食いに慣れ親しんできたせいか、やたら免疫力が高くって。滅多に熱を出さなければ風邪もひかない、体だけは昔から無駄に丈夫だったんですよ。

 でも、皆勤賞を自慢できるのは小学校低学年まで。
 思春期って少し体が弱いくらいが儚げで可愛いから。そんな女子に自分もなってみたいじゃないですか。クラスメイトに心配されたいじゃないですか。そんな憧れからのトントントーンッでもあったわけで。

 もちろん、休んだものの本当は熱なんてないから、基本、元気。
 「休めなくてゴメンね」とパートに出て行く母親の背中を「ラッキー♡」と見送り、ソッコー居間でテレビ鑑賞。
 みんなが教室で真面目に勉強しているなか、『笑っていいとも!』を見ながら、優越感に浸るっていうね。

 また、風邪の日は普段食べれらない特別メニューを食べられるのも嬉しかった。その大久保家の特別メニューが『フルーチェ』。いつもは兄と分けあって食べる『フルーチェ』をボールまるごと一人で食べるあの至福感!!

 さらに、風邪をひくと母親がいつも以上に優しくてねえ。多分、母親も楽しんでいたんだと思うんですよ、娘を介抱する優しい母親プレイを。
 で、こっちもこっちで弱って甘える娘プレイを楽しむみたいな、ある意味、一種の親子プレイ。

 それでも、あの頃は楽しかった。仮病であろうとリアルな風邪であろうと、お世話をしてくれる人がそばにいたから……。
 熱にうなされながら「もしも」の時に備えて、枕元に携帯を置いて眠る……。
 大人になった今、風邪をひくたび感じるものといえば、妙齢独身女性ゆえの孤独感。
 それを感じないためにも風邪予防策をしているか? いいえ、一切しておりません。菌をもって菌を制する、それが大久保佳代子の健康法。
 免疫力を鍛えるために、あえてうがい&手洗いは断固禁止。世間体を気にして、一応、洗うフリとかしますけど。なんならトイレの後ですら「洗わなくていい」と思っていますからね。

 それでも風邪をひいてしまったときは、自分の自然治癒力を信じ、風呂にも入らず、ひたすら布団の中でじっとする。野生の動物と同じですね。
 そうすると、たいていの風邪は治るんですよ。

 風邪のひき始めに、私が口にするのも薬ではなく、コンビニで売っている鍋焼きうどん。消化もよくて栄養もとれる、私はあれを一番の滋養強壮食だと思っているので。
 しかも、その一杯を何日にもわたり食べ続けるのが佳代子流。
 一日目は普通に食べ、二日目は残った汁でおじやを、さらに残った汁を出汁にして三日目は焼うどんに……アルミの器が破れるまで食べ続けますからね♡

 そんな野生的な大久保佳代子健康法、体が丈夫な方にのみ、オススメです。

 風邪のひき始めは「風邪にはネギ」「滋養強壮には卵」昭和のセオリーを貫きネギと卵をプラス。あったかいお出汁で体をあっため、そして、日に日に旨味が増していくお出汁を楽しみ続ける私。アルミの器が破れるまで……♡

文/石井美輪

まるごとバナナが、食べきれない

大久保 佳代子

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©三山エリ

著者プロフィール

大久保 佳代子 (おおくぼ かよこ)

1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」を結成。『めちゃ×2 イケてるッ!』でのブレイク後、数多くのバラエティ番組などで活躍中。

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