まるごとバナナが、食べきれない
大久保 佳代子
第2回
新米の素材の味を引き立てるシンプルなごま塩
(『Marisol』2015年10月号)
更新日:2022/10/26
店頭に並び始めた秋味のビールを見たときに「夏も終わりかぁ」と感じる。
季節の変わり目を教えてくれるのは、空の色でもなく、風の香りでもなく、常にコンビニ。
そんな私が楽しみにしている〝秋の旬〟といえば新米。そして、ふっくら炊き上げた新米と相性抜群のサンマです。
サンマの漁獲量と値段を伝えるニュースがやたら気になる、秋はそんな季節であり、焼き魚を上手に食べる人が素敵に見える季節でもあります。
焼き魚って食べるのが難しいじゃないですか。どこから攻めれば美しいのか、どこまで食べていいのか、口に入った小骨はどう処理したらいいのか……まあ、私の場合、小骨はゴハンと一緒に飲み込んじゃうんですけどね。
キレイに骨だけ残った魚を見ると「良い教育を受けて来たのね」と思う。
どんな家庭で育ったのか、透けて見えるからこそ、焼き魚を前にすると緊張が走る。
よく「大久保さんの実家は海の近くだから魚は得意でしょう?」なんて言われるんだけど、魚で溢れているからこそ、骨に身がこびりついていても「猫にやればいいよ」みたいな。むしろ、汚く食べ散らかしたほうが猫も喜ぶ、みたいな。魚をキレイに食べるのは実は苦手なんですよ。
彼氏と旅館に行って、朝食にアジの開きなんかが出された日には「朝から難問出てきたぞ」。いっそのこと、手づかみで食べてやろうかと思うくらいテンパりますからね。
白米とサンマの組み合わせも最高ですが、〝それだけで美味い〟のも新米の魅力です。カタめに立ったエロスな米粒を茶碗によそい、梅干しや昆布を添えて食べる……シンプルに新米の素材の味を楽しむのもまた至福。
それを追求したすえに、私が辿りついた〝究極のゴハンのお供〟がごま塩です。シンプルなコレが驚くほどに白米とベストマッチ!! もう箸が止まらない!!
37~38歳の頃には空前のごま塩ブームが到来。
「成長期の再来か?」と疑うほど、毎日、ごま塩効果で大量の白米を摂取。
部活帰りの男子高生なみに軽く2合完食したことも。
そして、縦でなく横に大きく成長するという残念な結果を残し、私のごま塩ブームは幕を閉じたのでした。
美味しいだけに恐ろしい白米。それだけに今「買い替えるべきか?」悩んでいるのが炊飯器です。
我が家で使っているのは炊いても、炊いても、不味く炊ける魔法の炊飯器で(ただ古いだけ)。米粒がパサッとしていて、ツヤもなく、2時間たつと黄色くなる……コレが本当にまぁ~不味い!! でも、そのおかげで食べ過ぎないですむっていう。
美味しく炊ける最新型は魅力だけど、そんなものを購入してしまった日には、またもや成長期を迎えそうで……。
納豆を合わせても、目玉焼きをのせても、バターをのせたって美味しい。白米はいうなれば真っ白なキャンバス。
それぞれの好みの〝ゴハンのお供〟で色づけして楽しむもの。
うどんと一緒に食べてもいい? 水をぶっかけて流し込んでもいい?
大丈夫、大丈夫。うちの母親が漬ける「殺す気か!?」と思うほど塩辛い梅干しですらドンと受け止めてくれる、白米は懐の深い食べ物ですから♡
私がハマった〝ごま塩〟はプラスチックの容器に入っているお馴染みのタイプ。ほどよい塩味が新米の甘味を引き立てて……コレがシンプルだけど意外にも飽きない!! 油断して食べ続けると、体重がビックリする数字を示すので要注意です。
文/石井美輪
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©三山エリ
大久保 佳代子 (おおくぼ かよこ)
1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」を結成。『めちゃ×2 イケてるッ!』でのブレイク後、数多くのバラエティ番組などで活躍中。
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