いま「テクノ封建制」という言葉が、時代を読み解くキーワードとして注目を集めている。ギリシャの経済学者であるヤニス・バルファキス氏が提唱しているもので、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)などの巨大テック企業が私たちからサービス料や手数料などをピンハネすることで富を集積し、きわめて強力な存在として君臨するようになった経済システムを指す。資本主義の行き詰まり、世界レベルでの格差拡大、米中新冷戦の激化、そしてトランプ大統領とイーロン・マスクらテック富豪との蜜月関係などの背景を解き明かしてくれる、2020年代の世界を考えるうえで最重要のキーワードだ。
この概念を打ち出した書籍『テクノ封建制』を絶賛している一人が思想家・内田樹氏だ。内田氏が考える本書の新しさとは? インタビューの模様を前後編に分けてお届けしたい。(構成・斎藤哲也)
内田樹氏(撮影:三好妙心)