AIと、ちょうどいい暮らし 柳沢小実

第3回

旅のコンシェルジュ① バンコク旅行

更新日:2026/10/14

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 ここのところ旅に出る前が忙しくて、旅の途中で体調を崩すことが続いていました。それもあって事前にほとんど調べものができないままに出かけたら、情報不足でちょっと寂しい内容になってしまった。ということで、ちょうどこの連載をしているため、実験的に今回のバンコク旅行の調べものの一部をAIに託してみることにしました。

 行先が海外の場合、通常はSNSでの情報収集は半年ほど前から始めています。現地在住で好みが似ている人を探して、そういう人がどう暮らしていてどのような場所に出入りしているかをじっくり追う。それと並行して、ガイドブックを複数冊と、特集されている雑誌、たとえば食や陶芸や手工芸などの目的があればそれに関する専門書や、航空会社のサイトの記事なども読み込みます。


夫の友達がたまたま同時期にバンコクに来ていたので、一緒に寺院へ

 通常、宿の手配はホテル予約サイトで評価と口コミを見て選んでいますが、地味に時間のかかる作業です。今回は、旅のスタイルと旅の目的、やりたいこと、行きたい場所と予算をAIに伝えた上で、いつも使っているホテル予約サイトから候補をいくつか挙げてもらいました。
 ちなみに、このときの条件は、「仕事をしつつ静かに10日ほど滞在、公園で毎朝散歩をしたい、ヤワラート(中華街)にアクセスしやすいエリア」というもの。ホテル予約サイトの評価ポイントが〇〇点以上という項目も入れたので、数日前に取ったにしては上出来でした。


都会の真ん中に広大な公園がいくつもあって、すごしやすい街です

 続いて、レストラン選びも手伝ってもらいます。私は胃腸がそう強くなく、旅で美食が続くとちょっとしんどくなるので、一日か二日に一回ここぞというお店を入れて、そのほかは食堂などで軽めに食べるくらいが調子がいい。そこで、本命級のお店は自分で調べたりすでにリスト入りしているところにして、ミシュラン・ビブグルマン(価格以上の満足度がある、手頃な価格の飲食店。味重視で選ばれているので信頼できる)からの食堂選びをAIに手伝ってもらいました。

 こういう店が好み、と店名をいくつか伝えた上で、ビブグルマンの店でこんな料理が食べたいと何度かやりとりしたら、途中から「あなたは〇〇が好きだから、きっと△△も好きですよね! これはどうでしょう!」と急にスイッチが入って、沢山の店名とさらにはタイ料理、タイ中華、その他エスニック料理などと分類に役立つラベルまでつけてくれたのです。この情報はプリントアウトして、旅ノートに挟んで持参しました。


猫と犬がのんびり暮らしています

 そのようにしてAIが提案してくれたお店ももちろん合格点でしたが、現地に住む人が案内してくれた小さい食堂が大大大ヒットで、何度も通いたいくらい気に入りました。やはり、ディープな情報に関しては、好みの合う人の口コミに勝るものなしですね。これはAIにはできまい、とうなりました。


現地に住む方リコメンドのお店でスープともち米


その方が以前教えてくれたお店「阿波羅豆花(APOLLO)」も忘れられない

 私の旅はいつも食とカルチャーの二本立てで、音楽フェスやクリエイターズマーケットなどのイベント、ブックカフェやセレクトショップも毎回数軒ずつ開拓しています。そこで、「以前〇〇や××へ行ってすごく好みだった。こういう店やイベントが好きな現地の人向けの最新アドレス、イベント情報を教えて。期間は〇~〇」と聞いてみました。


前回行って気に入った書店「Fathom Bookspace」

 その回答にあった一軒が、商業施設ワン・バンコク内の「The Independent Print Club」です。ここは個人による少部数出版物であるZINEを多く扱うクリエイティブ・スペースで、サイアムの隣駅にある独立系書店「Spacebar Zine」の10周年を記念して2026年にオープンしたお店だそう。バンコク旅行のたびに訪れている書店の系列店ということで、好みに合う品揃えでした。


「The Independent Print Club」。隣にギャラリーも併設されています

 そしてもうひとつ、いい小規模フェスの情報ももらって、チケットもネットで購入できたので飛び込みで行くことができました。このような情報は常に追っていないとなかなかたどり着くのが難しいのですが、他にも情報を探すためのキーパーソンやショップ、イベント情報を発信しているアカウントなどもすべてAIに教えてもらって検索がはかどりました。


豪邸の門からちらっと覗くかわいい足先

 今回はじめてAIをコンシェルジュ的に使ってみて、調べたり探したりするのに時間をかけたくないことについては、一定の成果が得られて時間短縮になると感じました。ただ、自分が特に詳しいとかこだわりがあるジャンルについては、よほど的確な聞き方をしないと、少し難しいかもしれません。

 旅の調べもののうち、まずホテルやエリアなどAIを使ってざっと絞り込んで、そこで浮いた時間をクオリティを上げるための情報収集に充てるといいのでは、というのが現時点での結論です。次のハノイ旅でも実験は続きます。

著者プロフィール

柳沢小実(やなぎさわ・このみ)

エッセイスト。1975年生まれ。日大芸術学部写真学科卒業。衣食住・収納・旅・手帳・ノートをこよなく愛する。趣味が高じて「整理収納アドバイザー1級」の資格を取得。部屋や時間を整えてすっきり軽やかに暮らすための、考え方やアイデアを提案。また、大手通販サイトなどでバッグ等の商品開発・監修も行っている。著書は読売新聞連載をまとめた『おうち時間のつくり方』(だいわ文庫)をはじめ、『すっきり暮らすためのもの選びのコツ』『わたしのごほうび時間 大人のゆったり旅』(ともに大和書房)ほか多数。最新刊は『「自分ログ」で毎日が変わる 手帳のある暮らし』(大和書房)。
Instagram:@tokyo_taipei
note:https://note.com/yanagisawakonomi

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