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Photo Essay 惑星巡礼 角幡唯介

極夜明けの空

更新日:2022/06/22

 南北両極圏では冬になると太陽が昇らない長い夜――極夜――がつづく。極夜が明けて太陽が昇るその年の〝初日の出〟は緯度によってことなり、シオラパルクでは例年二月十七日頃だ。二月にはいり極夜明けが近づくと空は独特の色合いをおびる。青とも水色とも紫ともピンクともいえないような淡い空がひろがり、幻想的で、どこか憂愁をおびた光景となる。日本でも見るような朝焼けや夕焼けともちがい、ほかではあまりお目にかかれないような空の色である。何故こんな不思議な空になるのかというと、それは太陽の移動経路と関係がある。太陽は緯度が高くなればなるほど正中時と極下正中時の高度差、つまり一番高く昇ったときと、一番低く沈んだときの差が小さくなり、ごろごろと横に転がるように移動する。極夜明け直前の太陽は、まだ見えないのだが、地平線のすぐ下をごろごろ転がっており、薄暮の状態が長時間つづくわけだ。空が淡い紫色になると長かった極夜が明けることが実感され、沈みがちだった心に前向きな感情が芽生えてくる。

著者情報

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)

1976年北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大探検部OB。2010年『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』(集英社)で第8回開高健ノンフィクション賞、11年同作品で第45回大宅壮一ノンフィクション賞、第1回梅棹忠夫・山と探検文学賞。12年『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で第31回新田次郎文学賞。13年『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』(集英社)で第35回講談社ノンフィクション賞。15年『探検家の日々本本』(幻冬舎)で毎日出版文化賞書評賞。

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