特集コラム

『わん!ワールド占い』的、「笑点」「ザ・ドリフターズ」

第8回

更新日:2024/05/08

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『わん!ワールド占い』では、古代中国で生まれた陰陽五行説に基づき、人間社会を「木・火・土・金・水」の5つの犬種グループに分類します。そしてこの5つのグループ同士にはそれぞれ明確な相性が存在します。

 たとえば「木が燃えることで火を生じる」から木と火のグループは相性がよく、「水は木を育てる」から水と木のグループは相性がいい。でも「水は火を消してしまう」ので水と火のグループは相性が悪いといった具合です。

 ゆえに、会社の中のひとつの部署といった限られた集団の中では、そこに属する人々の「五行」のバランスが人間関係に大きく関わってきます。相性のいい人で構成された集団なら円満な関係が期待できますが、もしバランスが悪いと、集団の中で対立や分裂が起こったりします。

 これはもちろん、テレビのバラエティ番組のキャスト、出演者たちの人間関係にもあてはまります。

 そこで今回は、1966年(昭和41年)5月15日のスタートから、なんと60年近く放送が続いている、レジェンド級長寿番組にして“国民的バラエティ番組”の『笑点』について、『わん!ワールド占い』的視点から、その人気と長寿の理由を探ってみたいと思います。

 今年の3月末に、大喜利メンバーの中では最古参であり、1969年から半世紀以上に渡りレギュラーを務めてきた林家木久扇さんが、『笑点』を勇退しました。
 まずは木久扇さん在籍時までの笑点のレギュラー出演者をみてみましょう。

“金”のわんこグループ

チワワ
春風亭昇太[司会](1959.12/9)

“金”のわんこグループ

シーズー
三遊亭小遊三(1947.3/2)

“土”のわんこグループ

ボーダーコリー
林家木久扇(1937.10/19)

“木”のわんこグループ

ジャックラッセルテリア
三遊亭好楽(1946.8/6)

“木”のわんこグループ

ビーグル
春風亭一之輔(1978.1/28)

“火”のわんこグループ

柴犬
林家たい平(1964.12/6)

“水”のわんこグループ

コーイケルホンディエ
桂宮地(1976.10/7)
山田隆夫[座布団運び](1956.8/23)

 なんと、8人の出演者の中に「金」「木」「水」のわんこが2人ずつ、「火」「土」のわんこが1人ずつと、「木・火・土・金・水」の五行のわんこがすべて揃っています。
 しかも、ここ30年ほどの司会者や旧メンバーを振り返ってみると、実はそれぞれの時期において、いつでも五行のわんこがすべて揃っているという、きわめて稀なメンバー構成の番組として続いていたのです。

 一般的に、地上波の人気番組、特にバラエティ番組の場合、個性の強いメイン司会者(MC)を中心にして、他のメンバーをキャスティングすることが多いため、レギュラーの五行が偏る傾向にあります。
 そして、特定のレギュラーを置かず、毎回異なるゲストを招いて進行するスタイルの番組(クイズ番組、トーク番組など)も多いことを考えると、レギュラーの五行がバラバラ、しかも5つ全部揃っているというのは、非常にレアなケースだと思われます。

 前回の『ザ・ビートルズ』に関するコラムで、グループを構成するメンバーの「五行の偏り」がパワーを生み、ヒットや成功につながるということについて書きました。
 では反対に「五行が全部揃っている」ことは、番組にどんな効果をもたらすのでしょうか。

 端的に言えば、それは「安定」と「普遍性」です。

 そもそも「陰陽五行思想」において「木・火・土・金・水」の五行とは「万物を構成する5つの元素」のことです。
 そして五行が全部揃っているというのは「万物が安定して、変化しない」状態を表します。

 つまり、これまでの『笑点』のように、レギュラーの五行が全部揃っているテレビ番組は、世相や流行によって変化したりしない「安定」と「普遍性」を持っているということになるのです。
 だからこそ『笑点』は長年、子供からお年寄りまで、世代を越えた老若男女に愛され続けてきたのではないでしょうか。

 そんな中で、36年間に渡り、ただ一人の「土」のわんことして存在したのが、林家木久扇さんでした。
 木久扇さんといえば、唯一無二の「与太郎」キャラクターに目を奪われがちですが、物事を着地させる役割を持つ「土」のわんことして、長年続く番組の「安定」に最も深く関わる不可欠な存在だったと考えられます。

 ですので、木久扇さんのかわりに誰が新メンバーになるのかは、実は『笑点』の存続に関わるような大きな問題だったはずです。もし「土」以外の人物に決まれば、五行のバランスも崩れてしまうからです。

 候補者として、実に多くの魅力溢れる方々の名前が取りざたされる中、新たに選ばれたのが、この人でした。

“土”のわんこグループ

ブルドッグ
立川晴の輔(1972.11/21)

 なんと立川晴の輔さんも「土」のわんこ。五行の相性を中心として考えれば、木久扇さんの後釜として最適の人物です。
 番組制作側があえて「土」のわんこを人選したわけではないと思いますが、無意識のうちに相性の良い人物を選んだ結果、五行の相性が最適な結果になることは、よくあること。
 こうした偶然を新たに呼び込むところから見ても、『笑点』は笑いの神様に愛された番組として、長く続くことになるのではないでしょうか。

 笑いの神様に愛された“国民的バラエティ番組”と言えば、誰もが思い浮かべる昭和のレジェンド的コンテンツがあります。
 それは、『8時だョ!全員集合』と『ドリフ大爆笑』です。
 ザ・ドリフターズの5人のメンバーによる、コントを中心とした番組で、どちらもレギュラー放送が終了して何年も経っていますが、今なお伝説として語り継がれています。

 そこで、このザ・ドリフターズの5人を見てみると……。

“木”のわんこグループ

ビーグル
いかりや長介(1931.11/1)

“金”のわんこグループ

トイプードル
高木ブー(1933.3/8)

“水”のわんこグループ

コッカースパニエル
仲本工事(1941.7/5)

“火”のわんこグループ

柴犬
加藤 茶(1943.3/1)

“土”のわんこグループ

ブルドッグ(土のわんこ)
志村けん(1950.2/20)

 驚いたことに、メンバー5人に対し、「木・火・土・金・水」の五行がひとつずつ割り当てられています。これは『笑点』以上に珍しいケースと言えます。

 しかも、1974年に志村けんさんが正式にメンバーになるまでは、この人がメンバーとして一世を風靡していました。

“土”のわんこグループ

ジャーマンシェパード
荒井注(1928.7/30)

 なんと「土」のわんこの荒井注さんに代わって、「土」のわんこの志村けんさんが後を継ぐのです。
 荒井注さん在籍時のザ・ドリフターズもすでに大人気でしたが、志村けんさんの加入後はさらに爆発的なブームを巻き起こすのはご存じの通り。
 占いに詳しい番組スタッフが、あえて「土」のわんこの新メンバーを選んだということはないでしょう。逆に、もし制作側が無意識に選んだ結果、五行の相性が最適な結果になったのだとしたら、これは確率的に考えてもかなりの偶然と言えます。

『8時だョ!全員集合』と『ドリフ大爆笑』の両番組が長年続いたのは、放送開始から終了までずっと「木・火・土・金・水」の五行が揃った盤石のメンバーで番組を作っていたからではないかと思わずにはいられません。

 現在、ザ・ドリフターズは、高木ブーさんと加藤茶さんの2人だけになってしまいましたが、それでも『8時だョ!全員集合』と『ドリフ大爆笑』で生み出された数々のコントやギャグが、今も色褪せることなく「普遍性」を持ち続け、日本だけではなく、海外の人々にも愛されているのは、この「五行の力」によるものなのかもしれません。

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