性知識イミダス:女性の更年期について知ろう~(前編)意外と知られていない更年期の基礎知識

イミダス編集部

(構成・文/加藤裕子)

「受診の目安」はこう考える

――さまざまな症状が出ていても、「更年期だから、しょうがない」と我慢する女性も多いです。受診の目安はなんでしょうか。

 更年期は身体機能の「曲がり角」ですので、特につらい症状がない場合でも、ヘルスケアの一環として婦人科の受診を検討してほしいと思います。受診するときには、簡略更年期指数(SMI)のチェックリストを活用してみてください。

 リストの「強」は「毎日辛くて我慢できないレベル」、「中」は「なんとか乗り越えられているレベル」、「弱」は「あるけど気にならないレベル」と考えてみましょう。他人と比べてどうかではなく、あくまで自分の主観的な判断でOKです。たくさんの更年期症状がある人でも、SMIに記入することで「多汗とイライラは『強』だけど、腰痛は『弱』かも」などと整理することができますし、治療を始めたあとはその効果が出ているかどうかの指標にもなります。
 SMIの項目にない症状がつらいという人もいますので、私のクリニックではこのチェックリストに自由記述欄を設けています。そのような欄がなければ、別の紙などに書いておくと、問診のときに役立つでしょう。また、SMIの項目に入っていないGSM(Genitourinary Syndrome of Menopause:閉経関連泌尿生殖器症候群)も更年期の症状ですので、腟ちつや外陰部、排尿のトラブルなどがあるようでしたら、医師に伝えてください。
 チェックリストで重要なのは、合計点ではありません。合計点が低くても、何かひとつでも「強」だと感じる症状があるなら我慢は禁物ですし、「こんなことで受診していいのか」などと思わず、ぜひ婦人科で相談してください。更年期に詳しい医師を探したいときは、日本女性医学学会の公式サイトで更年期も含めた女性のヘルスケア専門医のリストを公開していますので、ひとつの参考になると思います。

――自分の症状から、更年期か別の病気かの判断がつかない場合、最初に受診するのは婦人科でよいでしょうか。

 ほてり、発汗、動悸は甲状腺疾患でも起こりますし、手指の関節痛や腫れは、関節リウマチの可能性もあります。他にも不正出血は子宮体がん、気分の落ち込みなどはうつ病など、更年期の症状と見分けがつきにくい症状がいろいろとありますので、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を見極めることが大切です。
 もし特定の症状が気になっているなら、先に専門の医療機関を受診するのがよいでしょう。「関節が痛いので整形外科でレントゲンを撮ってもらったけれど問題がなかった」「動悸がすごいので内科に行き、心電図で調べてもらったが、心臓には異常がなかった」という情報が最初にわかっていると、婦人科での診察や治療をスムーズに進められます。
 一方、最初の相談窓口として婦人科を受診するのも、ひとつの方法です。特に「この症状で何科に行けばいいのかわからない」という場合は、婦人科で検査をしてから専門の医療機関に繋ぐことができます。

――婦人科ではどんな検査をするのですか。内診もあるのでしょうか。

 婦人科では問診で症状をうかがい、血液検査等で他の病気との関連を鑑別します。不正出血や月経不順がある場合は子宮がんや妊娠の可能性もありますので、必要に応じてそれらの検査も行います。また、ホルモン補充療法(HRT)を選択する前には、後編で述べる「禁忌」事項のチェックリストに従って、使用できるかどうかを確認します。子宮がん検診、乳がん検診を受けているかどうかや最新の健康診断の情報があるとスムーズです。

 当院では、初めて更年期障害の相談に来られる方にはカウンセリング(自費)をお勧めしており、環境要因、心理的要因についてしっかりひもといていけるよう配慮しています。クリニックによっては更年期診療に特別な時間を設けている場合もありますので、調べてみてはいかがでしょうか。

(後編につづく)

【後編の目次】

  • じっくり問診してから治療を選択
  • 自分に合う治療やケアを見つける
  • 「プレ更年期」と「ポスト更年期」のヘルスケアのポイント
  • 更年期の症状がつらいときの考え方

著者プロフィール

産婦人科医

善方裕美 よしかた ひろみ

よしかた産婦人科院長、横浜市立大学産婦人科客員教授。博士(医学)、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。1993年に高知医科大学を卒業後、横浜市立大学産婦人科に入局、附属病院にて更年期・骨粗鬆症専門外来を担当。1998年に医療法人よしかた産婦人科副院長、2020年より現職。著書に『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム新社)、『まんがでわかる! はじめての妊娠・出産あんしんバイブル』(よしかた産婦人科スタッフとの共著。日東書院本社)、監修書籍に『女性の生き方を左右する 子宮のきほん』(池田書店)、『しんどいな……が続く人のための「更年期の不安」をなくす本』(永岡書店)、『最新版 だって更年期なんだもーん』(主婦の友社)など多数。NHK「きょうの健康」などメディア出演多数。

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