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Shueishagakugei

謹んで「熊本地震」災害のお見舞いを申し上げます。

熊本地震により甚大な被害が発生いたしました。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く平穏な日々が戻りますよう、そして復旧がなされますよう心よりお祈り申し上げます。

(株)集英社

  • 集英社・熊本地震災害被災者支援募金のお知らせ

謹んで地震災害のお見舞いを
申し上げます。

東日本大震災により被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
また、被災地等におきまして、救援や復興支援など様々な活動に全力を尽くしていらっしゃる方々に、深く敬意と感謝の意を表しますとともに、一日も早く復旧がなされますよう心よりお祈り申し上げます。

(株)集英社

  • 集英社・東日本大震災被災者支援募金のお知らせ
  • 集英社・東日本大震災被災者支援募金募金状況とご報告

既刊情報

ジャンル:単行本 随筆 ノンフィクション 他

牛と土 福島、3.11その後。


著者 : 眞並 恭介

園子温氏(映画監督)絶賛!「福島の土も牛も、今もそこで生きている。」

  • 判型 :  四六判
  • 頁数 : 272ページ
  • ISBN : 978-4-08-781567-2
  • 価格 : 本体1,500円+税
  • 発売日 : 2015年03月05日

第37回 講談社ノンフィクション賞 受賞!
第58回 日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞 受賞!

2011年3月11日 東日本大震災発生

それにともなって起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故は、周辺の地域の人々から生きる場所を奪っただけでなく、そこで飼われてきた家畜の命も奪った。

立ち入り禁止区域の設定が牛と牛飼いを追いつめた

原発事故発生当時、原発から半径20km内の警戒区域で飼われていた牛は約3500頭。警戒区域が設定された4月22日以降、世話をする人が去った牛舎では、餌も水も与えられず餓死する牛が続出した。さらに5月12日、国が出した家畜への殺処分指示を受けて、牛は次々に殺処分にされ、生き延びている牛たちもしだいに野生化していく。

 しかし、牛飼いたちの中にはこの処分を受け入れず、立ち入り禁止の警戒区域に餌を運んでまで牛を生かそうとするものがいた。すでに経済的な価値はゼロ、死ねば産業廃棄物として処理されるしかない牛を、被曝の危険を冒してまで生きながらえさせるのはなぜか? 牛を生かす意味とは? 牛がふるさとを守るとはどういうことなのか?

牛がふるさとを、この大地を守ってくれる!

 模索を続ける牛飼いの渡部典一たちは、牛が様々な雑草を食べ尽くすことに着目し、牛をかつての水田に放つ。雑草まみれの水田の除草を牛にさせようという作戦だ。農地が多い被災地では、人がいなくなった今、農地に雑草が繁茂し、数年後には藪へと姿を変える可能性も高い。農地のままで保全すれば、近い将来帰還する住民がすぐに農業を再開できるのではないか。それがひいては福島の復興につながる、と信じて。はたして、牛たちは期待に応え、草を食べつくして、雑草で荒れ果てた地をかつての水田の姿へと変えていくのだった。こうして、人の姿の消えたふるさとで、牛は農地を守ることとなった。

研究者たちの挑戦

 一方、研究者たちも立ち上がった。原発事故により広大な大地に飛散した放射性物質と、被曝した動物たちの調査は、期せずして絶好の調査・研究の機会となった。放射能が動物や人間、土地にどういった影響を与えるのか、全国97機関409人の科学者と学生らの努力で、周辺の土地約2200箇所の土壌の採取と調査分析が実施され、そこから福島周辺の放射能による土壌汚染が見えてくる。牛の内部被曝の研究も進行中だ。

除染のカギを牛が握る?

牛の被曝を調査するうちに、牛の体に吸収された放射性物質の排出を利用して、土地を除染できる可能性に行き着いた。つまり、放射性物質が土→草→牛→糞という循環を経て、土から次第に除かれるという仕組みを応用するのだ。これなら、平地はおろか、山の除染も可能になる。

今もなお続く、牛飼いと研究者たちの闘い

4年が経過した現在、警戒区域は再編され、立ち入りが一部認められるようにはなったが、住民の帰還は果たされていない。帰還困難区域と居住制限区域を合わせると、東京23区全体の面積を超える。それでも被曝した牛たちは今でも元気に草を食べ、研究者たちは引き続き土壌や被曝牛の調査を継続している。真の意味の復興を目指して、彼らの挑戦はこれからも続いていく。




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著者情報

山下みどり
眞並 恭介

眞並 恭介 (しんなみ きょうすけ)

ノンフィクション作家。
1951年、大阪府茨木市生まれ。北海道大学卒業。出版社・編集プロダクション勤務を経て、92年にライブストーン株式会社を設立、代表取締役。主に医学・医療分野の雑誌・書籍の編集・出版に従事。2002〜14年、毎日新聞大阪本社特約記者。著書に『セラピードッグの子守歌――認知症患者と犬たちの3500日』(講談社)がある。

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