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Shueishagakugei

謹んで「熊本地震」災害のお見舞いを申し上げます。

熊本地震により甚大な被害が発生いたしました。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く平穏な日々が戻りますよう、そして復旧がなされますよう心よりお祈り申し上げます。

(株)集英社

  • 集英社・熊本地震災害被災者支援募金のお知らせ

謹んで地震災害のお見舞いを
申し上げます。

東日本大震災により被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
また、被災地等におきまして、救援や復興支援など様々な活動に全力を尽くしていらっしゃる方々に、深く敬意と感謝の意を表しますとともに、一日も早く復旧がなされますよう心よりお祈り申し上げます。

(株)集英社

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既刊情報

ジャンル:単行本 随筆 ノンフィクション 他

謝るなら、いつでもおいで 


著者 : 川名 壮志

世間を震撼させた「佐世保小六同級生殺害事件」から10年
〜新聞には書けなかった実話〜

  • 判型 : 四六判
  • 頁数 : 328ページ
  • ISBN : 978-4-08-781550-4
  • 価格 : 本体1,500円+税
  • 発売日 : 2014年03月26日

謝るなら、いつでもおいで 2004年6月、長崎県佐世保市の小さな小学校で、11歳の女の子がクラスメイトの友だちをカッターナイフで殺害した。教師や同級生のいる、白昼の教室で…。世間を震撼させたあの「佐世保小六同級生殺害事件」。

2004年6月、長崎県佐世保の小さな小学校で、小6の女児が友人をカッターナイフで刺殺した。白昼の教室で……。
被害者の父親は毎日新聞佐世保支局長。僕の直属の上司だった。惨劇を前に遺族の隣人として、新米記者として、わけもわからないまま取材に走る。胸の奥で渦巻く思い。やがて、事件は風化していくが、遺族の苦しみが消えるはずもない。終わりなき事件を追いかけ続けて見えてきたものとはーー。
償いとは?許しとは?

―『謝るなら、いつでもおいで』に込めたもの、テーマなどを教えていただけますか

 本書では、遺族と加害者とマスコミという、いわば水と油といってもいい関係にある三者のそれぞれの思いがリアルタイムで交錯します。加害者、遺族、マスコミの生の声が同居している本は、僕が調べた限り、類がないようです。ひとりの人間がそれぞれの一次情報にあたることが難しいからでしょうね。僕は、被害者家族の部下という、たまたま稀有な立場にいたので、それができました。また、自分自身の義務というか、こういう本を書かなければいけないという思いもありました。
 この三者(被害者・加害者・マスコミ)の関係って、本来は対立して相容れないはずなんですよ。まさに三つ巴で、お互いがお互いを憎んだり、邪魔っけに感じたりする関係性ですよね。大変な状況におかれている被害者、加害者にとって、マスコミの存在というのも正直言って鬱陶しいものだろうなと思うんです。それは僕がふだん仕事していても感じます、申し訳ないなぁと。けれども、自分でも不思議なんですが、物語が進むにつれて、三者それぞれがいがみ合っている構造ではなくなってくるんです。それぞれの立場も視点もゆらぎ、不安定さが増していきます。その先に見えるのは何なのか。僕が書きたいテーマはそこにありました。
 それともうひとつ、この話って、特異な話というだけではないんですね。子供が親の知らないところで誰かに殺される、あるいは誰かに手をかける。そして、親の知らないところで親を超えている。こうしたことは、どの家庭でも、誰にでも起こりうる話です。読者は被害者の父親の苦しみに共感し、加害少女の親にも同情し、ひっそりと成長する被害者の兄の姿に目をみはるはずです。最後にはきっと、晴れやかな読後感があると信じています。
 事件を巡るさまざまな人々の思いを、本書を通じて知ってもらえれば、とてもうれしいです。
右上へ

―『謝るなら、いつでもおいで』を出版することに至った経緯と心境を聞かせてください。

 この事件の加害者は11歳の幼い女の子でした。まだ小学6年生。そして殺された女の子のお父さんは僕の上司で、ベテランの新聞記者でした。僕はまだ入社2年目ぐらいの新米記者だったんですけど、佐世保という田舎の小さな支局だったので、わりとのんびりと仕事させてもらってたんです。上司ひとりに、若手記者が僕を含めて2人だけ。本当に小さい支局なので、お互い密な関係だったんです、男3人が一日中顔付き合わせてますから。そんなところに事件が起きたので、もうパニックでした。
 僕は亡くなった女の子とも日常的に顔を合わせていたんです。その子が殺されたなんて、なかなか現実味がわかなくて、完全に頭の中が真っ白でした。頭が追いつかなかった。受け止めるのにすごく時間がかかったように思います。
 事件の渦中でも、僕は記者としての業務があるので、目の前のことだけで一日一日が精一杯、取材や記事の執筆なんかに必死だったんです。でも仕事で突っ走りながら、ちょっと消化不良というか、“やり残してる感”があるというか、まだ自分は事件の核心に立ち会っていないのかもしれないなという思いが頭をよぎるんですね。そんなもどかしさがあって、この事件のその後をずっと追っていたんです。それは別に会社から求められて、じゃなくて、「記者」として、「隣人」として、なんですけど。
 痛ましい事件というのは世の中にいろいろありますが、その被害者像っていうのは、悲しみに明け暮れて、立ち直れなくて、加害者を恨んで…っていうイメージがけっこうあると思うんです。でも、実際に僕が事件の「その後」をずーっと追いかけていったら、こちらの想像をはるかに超えるような人間の豊かさが出てきた。ハッとさせられました。
 ただ、そういった後日譚というのは新聞記事には、なかなか向かないんですよね。新聞ってやっぱり、その日その日のフレッシュな情報を提供してナンボという面がありますから。このたび1冊の本にとして世に出させていただく機会をいただいて、本当にありがたいことだと思っています。


イラスト/津田貴嗣(Beeworks)



試し読み

著者情報

川名 壮志 (かわな そうじ)

1975年長野県生まれ。新聞記者。
2001年、早稲田大学卒業後、毎日新聞社入社。初任地の長崎県佐世保支局で「佐世保小6同級生殺害事件」に遭遇する。 被害少女の父は支局の直属の上司、毎日新聞佐世保支局長だった。事件から約10年にわたり、取材を継続。佐世保支局を離任後も、少年事件や犯罪被害者の取材を続ける。警察回りや証券取引等監視委員会なども担当し、現在は東京地方裁判所・東京高等裁判所を足場とした司法取材に取り組んでいる。本作は、第11回開高健ノンフィクション賞最終候補作品を大幅に加筆修正したものです。


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