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ジャンル:単行本 対談 講演

iPS細胞ができた!

iPS細胞ができた! 


著者 : 山中 伸弥/畑中 正一

  • 判型 : 四六判
  • 頁数 : 172ページ
  • ISBN : 978-4-08-781395-1
  • 価格 : 本体1,100円+税
  • 発売日 : 2008年05月26日

世界が注目、世紀の偉業。iPS細胞作製成功!
京大の山中教授らが、ヒトの皮膚から「iPS細胞」を作り出すことに成功した。自分自身の細胞を使って、病気になった組織や臓器を治すことも可能になる。夢のiPS細胞の秘密に畑中京大名誉教授が迫る。

試し読み
はじめに

 ヒトの体は約60兆個の細胞からできているという。たったひとつの受精卵が、細胞分裂をくり返してヒトを作りあげるのだ。細胞は分裂をくり返しながら皮膚や筋肉や神経や臓器に分化していく。
 この分化は、動物では一方通行だ、と永らく考えられてきた。ところがクローン羊「ドリー」の誕生('96年)やES細胞(胚性幹細胞)の研究がすすみ、分化した細胞が「巻き戻る」ということが分かってきた。
 そして'06年8月、京都大学の山中伸弥教授のチームは、世界で初めてマウスの皮膚細胞からiSP細胞(人工多能性幹細胞)を作りだすことに成功し発表した。これは分化した細胞を、時間を逆にたどり、未分化の状態に戻すことに成功したのだ。
 ここから、さらにヒトの皮膚細胞からのiSP細胞作りへの挑戦が始まった。
 そして去年('07年)11月20日、山中教授のチームは、ついにヒトの皮膚からのiPS細胞作製成功を発表。そのビッグニュースは驚きとともに世界中を駆け巡った。
 ヒトの皮膚細胞から作られたiSP細胞は、体中のあらゆる細胞に変化できるという、まさに「夢の細胞」だ。自分自身の細胞を使って、悪くなった部分を治したり、取り替えたりすることができるようになる。
 このiSP細胞は人類に限りない夢を与えてくれる。しかしまだまだ安全性など越えなければならない壁は多く存在する。山中教授は、広く一般の方にもiSP細胞を知ってもらいたいと、多忙な中、畑中正一京大名誉教授との対談を快く引き受けてくださった。
 これはiSP細胞の「現状」と「未来」を分かりやすく語り合っていただいた初の単行本である。
                     編集部

一般にいわれる「万能細胞」
 iSP細胞(人工多能性幹細胞)
 体細胞を使う。自分自身の細胞を使えば拒絶反もない。

 ES細胞(胚性幹細胞)
 受精卵を壊して使う。倫理面と拒絶反応の問題が。



ヒトの皮膚からiPS細胞を
作ることに成功。
本当に驚きました(畑中)

畑中 このたびはおめでとうございます。山中先生は、ヒトの皮膚から、様々な細胞になれるというiPS細胞(人工多能性幹細胞。山中先生は「万能」というのは一般の方に誤解を与えるのでと、常にiPS細胞とおっしゃっています)作製に成功されました。一般の方々にも分かりやすくお話をいただければと思います。お忙しい中かと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。
山中 ありがとうございます。こちらこそ、どうかよろしくお願いいたします。かねてから尊敬申し上げていたウイルス研究の権威の畑中先生にお会いでき、大変光栄でございます。
畑中 私も、先生がいま研究室をもっていらっしゃる京大の南西の研究棟が並ぶ一角で、30年ほどウイルスの研究をしておりましたが、あの場所から、今回、大偉業を達成された方がお出になったというのは、本当に感慨深いものがあります。
山中 まだまだ大偉業達成という感じではないのですが。
畑中 昨年('07年)11月、山中先生の研究チームが、ヒトの皮膚からiPS細胞を作ることに成功した、というビッグニュースが世界を駆け巡りました。ヒトの皮膚細胞から、様々な細胞になれるように遺伝子をウイルスで運ばせてiPS細胞をお作りになったということですが、私も本当に驚きました。
山中 8年間この研究を続けてきましたが、熱心な若いスタッフにも恵まれ、本当にラッキーだったと思っています。

人類の夢を叶える大きな一歩

畑中 自分自身の細胞を使って、病気になった組織を治したり、将来的には臓器を作りだすことも可能になる、という人類の夢を叶えてくれる大きな一歩を踏み出したわけですね。
山中 安全性の問題など、まだまだ研究しなければいけないことはたくさんありますが。
畑中 ヒトの皮膚細胞に4つの遺伝子(現在は3つ)をウイルスを使って組み込み、iPS細胞を作られた。この方法は、先生がマウスで世界に先駆けて開発され、2年ほど前の'06年8月に発表されましたね。マウスでの成功ということでしたが、大変衝撃的でしたね。
山中 今回、ついにヒトでも成功した、というところです。


ES細胞とiPS細胞の違い
 ヒト→皮膚細胞を採る→4つ(現在は3つ)の遺伝子を入れ培養→iPS細胞
 →(様々な組織のもとに神経細胞 心筋細胞 脂肪細胞 軟骨ほか)

 ヒト→受精卵→ES細胞(倫理問題が解決できない)
(…この続きは本書にてどうぞ)