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Shueishagakugei

謹んで「熊本地震」災害のお見舞いを申し上げます。

熊本地震により甚大な被害が発生いたしました。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く平穏な日々が戻りますよう、そして復旧がなされますよう心よりお祈り申し上げます。

(株)集英社

  • 集英社・熊本地震災害被災者支援募金のお知らせ

謹んで地震災害のお見舞いを
申し上げます。

東日本大震災により被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
また、被災地等におきまして、救援や復興支援など様々な活動に全力を尽くしていらっしゃる方々に、深く敬意と感謝の意を表しますとともに、一日も早く復旧がなされますよう心よりお祈り申し上げます。

(株)集英社

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バカなフリして生きるのやめた

Columns

仁藤夢乃

家や学校に居場所がない、親や友達といい関係が保てない……、10代の少女たちが抱えた苦しい悩みや生き方について、一緒に考えてみませんか? 「難民高校生」著者の仁藤夢乃が編集長となって、中高生のみなさんに向けたメッセージや読み物を配信します。

女性優位社会が本気で信じられている
男が傷つく「女尊男卑」の時代

 2017年9月15日の朝日新聞朝刊「声 若い世代 こう思う」という読者投稿欄に、「男が傷つく『女尊男卑』の時代」というタイトルの文章が掲載された。投稿者は15歳の中学生で、おそらく男の子らしい署名。今の時代に男尊女卑だと言う人は「本気で言っているのだろうか」という意見を語っていた。
 その理由として、「電車内で女性の髪の匂いをかぐのは迷惑防止条例違反、という議論があったそうです」とし、「好きな女性に告白しただけでセクハラになるという『告ハラ』や、女性優先の『レディースデー』というサービスが、男性を弱くしている」という。そうして、女性を守るためのルールが男性を傷つけ、女性が得をするように変わっているので「見直すべき」と主張する。
 中学生がこのような意見を持っていることにショックを受けたが、前回の本コラム「援助交際を『性犯罪の抑止力』と考える若者」で取り上げた女子高校生と同様、暴力と権利をはき違えた考え方をする若者と出会うことは少なくない。この中学生は「男性を弱くしている」と語っているけれど、もしかしたら彼は「男は強くなきゃいけない」と誰かに教えられ、女性に対して暴力的であることや、自分勝手なふるまいをすることが「強い男だ」と思わされているのかもしれない。
 彼らは、どのような大人に囲まれて育ち、どこから得た情報の影響を受けているのかを、私たちは考える必要があると思う。そして、「それは間違っている」と教え、正しい知識を伝える責任が大人にあると思う。だから日本における男女の不平等の歴史や、今も続く現状を解説することなく、彼の意見をただ掲載した朝日新聞の無責任さにもがっかりした。

日本は男女平等が実現した社会か

 イミダス時事オピニオンに寄稿された上智大学教授の三浦まりさんの「あなたも今日からフェミニスト」(17年9月15日)では、大学で学生たちに「性差別を感じることは?」と聞くと、男子学生は映画のレディースデーや女性専用車両を逆差別だと受け止めていたり、女子学生も就活を始めるまで日本では男女平等が実現していると信じて疑わない人のほうが多かったり、「ほとんど気づいていないのが実態」と指摘されている。私も友人から「今の時代は男女平等」と言われたり、母親からは「昔はもっとひどかった。女性は会社でお茶くみをさせられたけど、今の時代は差別はなく、女性も活躍できる」などと言われることがあるが、日本社会が男女平等を実現しているとは思えない。
 16年に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、経済・教育・政治・保健の4分野から男女差を比較した報告書「ジェンダー・ギャップ指数2016」で、日本は144カ国中111位、主要7カ国と呼ばれるG7では最下位だった。これについて、朝日新聞も「日本は教育や健康の分野では比較的格差が小さいが、経済と政治の両分野は厳しい評価を受けた。国会議員における女性比率で122位、官民の高位職における女性の比率で113位、女性の専門的・技術的労働者の比率で101位とされた。過去50年で女性の首相が出ていないことも、低評価の一因だった」と書いている(朝日新聞オンライン、16年10月26日)。また、16年の経済協力開発機構(OECD)の「男女賃金格差」調査でも、日本は加盟34カ国中2番目に格差が大きかったことが判明している。
 安倍晋三政権は「女性活躍推進」をうたっているが、女性が正社員として就職することは男性以上に厳しく、仕事に出るため子どもを預けたくても保育園は不足。育児や介護、家事労働の多くを女性が担い、男性と同じように活躍するための土壌が整っていないのに、女性が男性のように仕事をすることを「活躍」という言葉でごまかし、求めているのが現政権だ。
 経済的な問題だけではない。
 選択制夫婦別姓が実現していない日本では、婚姻の際にはどちらかの姓を選ばなければならず、9割以上で女性が改姓している。結婚したら相手の男性の姓になることを当然と思っている人は、子どもから大人までたくさんいる。結婚すると妻が「家内」や「奥さん」「嫁」と呼ばれ、家事ができないことは女性の恥だとされる一方で、その家の主であるかのように「主人」と呼ばれる夫は家事ができなくても恥だと責められることはない。
 結婚した女性は、夫の「家」のものであるかのように扱われることも多い。私もパートナーの父親に、「うちにも働く嫁が欲しいなあ。いつ、うちのものになるんだ?」などと、「俺のグラスに酒を注げ」というしぐさをしながら言われたことがある。そして、そういう人ほど「自分は差別主義者ではない」と言いたがる。

女性が生きやすくなることの意義

「イクメン」という言葉が流行すれば、「男が仕事も家事もしなければならない時代」と、男はつらいよ的なメッセージが男性から発せられる。不倫が表沙汰になれば女性ばかりが責められ、性被害を告発すれば女性が叩かれる。児童買春については「売る子どもが悪い」とし、買う側の存在には目も向けない。
 先日、朝日新聞の「オトナの保健室」で私が子どもや若年女性の性の商品化を批判した時には、その反論として「女性に相手にされない、モテない自分は性的弱者なので、そのくらい許してほしい」という男性の意見が取り上げられた(17年6月20日夕刊「性の対等なんて無理」)。
 暴力をふるう、差別をする側の意見と、被害を受ける側があたかも対等であるかのように扱われるのはおかしいが、「中立」という言葉で対等性を見失い、本質を見えなくさせるメディアは少なくない。その結果、冒頭の中学生のように、権利擁護を差別と捉えたり、誰かを傷つけるような行為を権利として主張したがったりする男性が生まれていると思う。
 女性が生きやすくなることは、男性も生きやすくなることであるはずだ。女性が安心して産休や育休を取れるようになることで、男性の育休も取りやすくなる。女性の賃金が上がれば、夫となった男性も仕事を休む時間を増やせるかもしれない。女性が性被害について声を上げ始め、女性への支援が広がりつつあることで、声を上げる男性被害者も出てきたことで、支援の必要性も理解され始めてきた。
 しかし、それを受けて「男だって被害を受けているのに、女ばかりが被害者ぶるな」などというずれた反論をしたがる人がいる。男女にかかわらず、人権侵害や暴力からすべての人が守られるべきなのに。
 若い女性にセクハラしておきながら、「すぐセクハラって言われちゃうからな。男が生きづらい時代だよ」「ちょっとからかっただけ」「可愛がってやろうと思った」などと言い、本当は自分が優位な立場にあるにもかかわらず、わざと「下」であるかのように表現することで自分の行為を正当化しようとする中年男性もよくいる。が、多くの場合、自分の立場や無礼な行為に無自覚であったり、開き直っていたりするからたちが悪い。

好きな女性への告白はセクハラ?

 冒頭の中学生は「電車内で女性の髪の匂いをかぐのは迷惑防止条例違反、という議論があった」とか、「好きな女性に告白しただけでセクハラになる」といったことを男性が生きづらいことの例にしていたが、どこでそんな議論があったのだろうかと思い、調べてみた。
「電車 髪の匂い」でネット検索すると、トップにヤフー知恵袋の「電車の中で女子の髪の毛の匂いをクンクン嗅ぐのは犯罪でしょうか?」「満員電車で女性の髪の匂いを嗅ぐのって犯罪ですか?」「満員電車の中で、女性の髪の匂いをついつい嗅いでしまいます(特に人妻・高校生の)」などの質問が出てきた。タイトルがすでに気持ち悪いが、解答欄には「勘違いされたり痴漢冤罪でつかまらないように気を付けて」「満員電車だったら犯罪ではない」「故意でなければ犯罪にはならない」「バレないようにやりなさい」などのコメントが並んでいた。
 次に出てきたのが、「電車の中で女性の匂いを嗅いだら逮捕? 新たな痴漢手口で冤罪のリスクは」という探偵事務所のブログだった。そこではあるバラエティー番組の中で元警察関係者が「体にさわらない痴漢行為」としてそうした手口を紹介したことに触れ、「相手を見るだけでも痴漢になる『ただ見ただけ痴漢』時代が来てしまうのではないかという発想」を東京都の迷惑防止条例に照らして考察。「厳密に言えば痴漢ではないと思われるが、新たな火種ができそうだ」などと煽っている。中学生がこの記事を見たのかはわからないが、ネットの情報なのかなと思った。
「告ハラ」という言葉も初めて聞いたので、調べてみると「男からの愛の告白はセクハラなのか」(ダイヤモンド・オンライン、17年8月23日)というネット記事がアップされていた。そこには「『告ハラ』は女性にとって脅威である」という小見出しとともに、「愛する人に想いを告げることは、何にも変えがたい尊い行為である。しかし、その愛の告白を不快だと思う女性がいる」「なかには、『セクハラだ』と感じる女性もいるようだ」と書かれている。
 その具体例として、知り合ったばかりで、ほとんど顔見知りレベルの男性から突然告白された女性の「自分の気持ちを成仏させたいだけの、相手の気持ちを1ミリも考えない身勝手な告白は、暴力そのものですよ」という言葉と、上司にいきなり告白されて「断った後にギクシャクして、仕事に支障が出ています。自分勝手過ぎますよ」という女性の言葉を紹介している。
 この女性たちが不快な思いをし、問題にしているのは「相手の気持ちを考えない男の身勝手さ」や、「断った後でも気を使わなければならない負担や苦痛」である。しかし、この記事の筆者は、告白がセクハラになりうるのは「強制的に相手との関係性を作る行為」であり、「性的な関係も含めた未来のビジョンが含まれる」ものであるからだと推察している。その上で、「大人の告白には、『資格』がいる」「告白する時点で、二人の関係はすでに煮詰まっていなければいけない」とし、途中経過をすっ飛ばして高リスクな告白をする「ピュアなおじさん」にはなってはならないと、的外れな論を展開している。

思いつきの言葉が社会も騒がす

 この記事はツイッターでたちまち拡散され、その日のうちにまとめサイトやブログなどで「男が女に勝算のない愛の告白をする『告ハラ』が横行……女性にとっては精神的な負担と物理的な恐怖を与えるセクハラ」「【悲報】キモ男が女に告白することは『告ハラ』であることが判明ww」「『告ハラ』という新たなハラスメント言葉が登場」「ピュアおじさんが女に勝算のない愛の告白をする『告ハラ』が横行中ww」などという記事が次々と作成された。
 数日後には方々のWebメディアも「いきなり告白するとセクハラになる? 今話題の『告ハラ』ってなんだ!」「勝算のない告白はセクハラか 『告ハラ』で大議論」などの記事が公開され、「脈のない女性へいきなり告白すると、セクハラになってしまう」「交際が始まるオーソドックスなパターンの一つに、『男性が女性に愛を告白する』というものがある、ところが、これを根底から否定するような告ハラという新たな概念が登場し……」などと煽っている。
 ツイッター上では、「告ハラなんて初めて聞いた」「いつの間に想いを伝えることが罪になる時代が来たんだ」「こんな新概念ができたらさらにハードルが上がって若い男子が可哀そう」「その発想そのものが女から男に対するセクハラ」「告ハラを考えた人は、妄想で頭がいかれたブスだろう」「なんでもかんでもハラスメントで息が詰まる」「ブス女から告白されるのも告ハラ」などの反応があり、「これは新しい男性差別だ」「セクハラだ」と主に男性が騒ぎ立てていた。
 元になった記事を書いたのは男性のライターで、調べてみると記事の公開前に「とりあえず、告ハラって言葉をつくってみた」「何でもかんでも社会問題化することに定評のある僕ですが」などとツイートしていた。
「告ハラ」は女性が告発し、問題化した言葉ではなく、筆者が勝手に作り上げただけの言葉だったのだ。私はこんな軽々しい言葉がたった3週間で、あたかも女性が告発したハラスメントの一種であるかのように全国紙に掲載されてしまうことこそが社会問題だと思う。

男が「女性による男性差別」を作る

 この記事に反応したのは、男性だけではない。ある女性ジャーナリストは「男性の一方的な告白だけ『告ハラ』と呼ばれるには、恋愛に対する考え方の違いも絡んでると思った」「安易にハラスメント認定するのもどうかと思う」「告ハラというセンセーショナルな言葉に、多くの男性が衝撃と反発を感じている」などと語り、エキサイトニュースに「なぜ男の無謀告白は"告ハラ"と呼ばれてしまうのか?」(スマダン、17年8月29日)という記事を書いていた。
 彼女の記事には、好意を抱いていない男性からの告白によって女性がどんなに「迷惑を感じた」かということが多く紹介されていたが、男女の恋愛に対する感覚の違いが根底にあるとして話をまとめているのが残念だ。本当に問題なのは男の無謀さではなく、女性の気持ちを考えない行為であり、それによって女性が不安や恐怖を感じたり、気を使わなければならない状況への配慮が無いことであるはずなのに。
 ネットには、根拠のない言説が、あたかも事実であるかのように書かれている。何が事実なのか情報をどう判断すればいいのか、何が差別で、何が暴力なのかを大人も学び、子どもが学ぶ機会を作っていかなければ、誰かに煽られるがまま、本当かどうかわからない不安や被害妄想によって左右される社会になってしまう。
 男性が自ら「女性に告白する」行為自体がセクハラになりうるという言説を作り出し、新たな社会問題であるかのように語り、それが女性による男性差別であるかのように拡散され、その影響を男子中学生が受ける。そこに女性も加わって、女性差別が助長されている現状を、私は笑って見てはいられない。

仁藤夢乃(社会活動家)

仁藤夢乃 (にとう ゆめの)

社会活動家

1989年、東京都生まれ。中学時代から東京・渋谷で家出生活を繰り返し、高校を2年で中退。後に恩師となる予備校講師より知遇を得て、農業・国際貢献活動に従事。2009年、明治学院大学社会学部に進学。在学中から高校生に目を向けた活動を始め、卒業後の11年に一般社団法人 女子高校生サポートセンターColaboを設立、代表理事をつとめる。第30期東京都青少年問題協議会委員。著書に『難民高校生』(英治出版)、『女子高生の裏社会』(光文社新書)。

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